第14話[日菜ちゃん大爆発]
緑樹の薬を飲み、回復した私は勇者達と話し合いをしていた。
あのコウモリをどうするか?
多数決をし、私と勇者が殺すに手を上げ、緑ちゃんだけが殺さないに手を上げる。
この結果に納得いかず、抗議する緑ちゃんを私は黙らせた。
「日菜殿、怒ると怖いんですね」
「緑ちゃん、分かってないなぁ」
「そこがいいんじゃない」
そう言うと勇者は私に怒られるのを想像し、息を荒げた。
さて、変態は放って置いてお宝でも探しに行くとしますか。
しばらく歩き、洞窟へ辿り着く。
私は炎の呪文を唱え、洞窟内のコウモリ達を一掃して行く。
そして最深部。
私達の前に一人の女盗賊が立っていた。
「何だお前ら?」
「あたいに何か用かよ」
女盗賊?
さてはお宝を独り占めでもしているのかな?
特に脳内に何の情報も無い。
イベントでは無いようだけど……。
私は二人とどうするか相談した。
「やっぱりお宝を独り占めしてるんだよ」
そう言うと勇者は女盗賊の後ろにある宝箱を指さした。
私と緑ちゃんは頷き、彼女からお宝を奪う事にする。
「きしゃぁ、しゅりなふまちき」
緑ちゃんが奇声を上げ、女盗賊に襲いかかる。
それに驚き、女盗賊が怯んだ隙に、私と勇者はお宝を奪い走り去った。
その後を追おうとする女盗賊の前に、緑ちゃんが奇声を上げ、再び襲いかかる。
「ひゅーりりりん」
「ぽっひゅんぱっあ」
気持ち悪い奇声、そして何度斬り付けても傷一つつかない強靭な肉体。
そんな緑ちゃんが恐ろしくなり、ついに女盗賊は武器を捨て、逃げてしまう。
「よし、二人の後を追いますか」
そう呟くと、緑ちゃんは瞬速を活かし、私達に追いついた。
そして、私達は宝箱を開ける……。
村へ帰り、村長の家に押し入り、私達は村長の目の前に盗んで来た宝箱を置く。
「これの何処がお宝なの?」
宝箱には何と女盗賊の下着がぎっしりと詰められていた。
私は興奮する村長の頬に杖を押し当てる。
「日菜ちゃん、駄目だよ」
「呪文を使って、じわじわ殺さないと」
私にウインクしてそう話す勇者。
なるほど、その手があったか。
「日菜殿、コウモリの芸術品を使ってみてはどうですか?」
緑ちゃんはそう言って、袋に入ったコウモリの芸術品を村長に見せる。
毒でジワりも良い。
それにしても……。
「まさか異世界で下着泥棒をさせられる何て思ってもみなかったわ」
怒りで私の拳が震える。
この後、日菜は呪文を叫び、村長宅から悲鳴が響き渡り、周辺に住む村民達は、震えながら眠りについたという。
第14話 完




