第13話[レッツ、トレジャー]
私達は今洞窟の中に居る。
辿り着いた村によると、この洞窟の中にはすごいお宝があるらしい。
それにしても……。
私だけ、やけにコウモリの芸術品が落ちてくるなぁ。
コウモリといえど魔物、退治したいのだが……。
「日菜殿、無益の殺生はメッですよ」
いや、無益じゃないよ。
有益だよ。
コイツらの羽を削いで、村役場に届ければ、それだけで討伐クエストクリアだよ。
はあ、それより……。
「何か目眩がしてきた」
コウモリの芸術品に毒でもあるのだろうか?
だから私めがけ落としてくるのかな?
「大変です勇者殿、日菜殿の顔色が見る見るうちに青く……」
「それは大変だ」
「待ってて日菜ちゃん」
「今、王子様の血液で浄化してあげるから」
「そこはキスなのでは?」
「そんなんで治る訳ないじゃん」
「神聖なる勇者の血液こそ、薬として役立つんだから」
「なるほど、勉強になります」
そんな二人の会話に耐えきれず、私は起き上がり、そして怒鳴った。
「いいから、この前大量買いした緑樹の薬を寄越せ」
私の声が洞窟中に響き、コウモリ達が驚き、一斉に私達めがけ飛びかかって来た。
「ここは私が……」
そう言うと緑ちゃんは刀を構え、コウモリ達を一匹ずつ切って行く。
だが、ダメージゼロ。
「さあコウモリ達、落ちつき私の話しを聞きなっ……」
「ちょっ……、やめ……」
コウモリ達は一斉に緑ちゃんに飛びかかり襲う。
だが、緑ちゃんのステータス上、コウモリ達の攻撃を受けてもダメージゼロ。
とはいえ、無数のコウモリ達に囲まれるのも、あまりいい気はしない。
勇者と緑ちゃんは私を抱え、一時撤退をし、村に帰る事にした。
第13話 完




