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最終話[数年後]

数年後、森で魔物に襲われている少女が居た。

彼女の悲鳴を聞き、黒い鎧を着た女性が駆けつける。

大きな大剣を振るい、魔物を横に二つに斬ると女性は舌打ちをする。


「チッ、まだ人間を襲う魔物が居たとはな」


そう言って大剣に付着した魔物の血を振り落とすと黒騎士は大剣をしまい、少女の方へ振り返った。

恐怖からか少女が黒騎士に泣きつく中、黒騎士は彼女の頭を優しく撫で、彼女の身なりを確認する。

見窄らしい服装。

肌も土で汚れ、髪も洗っていないのかボサボサしていた。


「君、両親は?」


「居ない」

「お爺ちゃんは居たけど死んじゃって……」


彼女を育てる人間が居ない事と、この森に来たのは果実を採って飢えを凌ぐ為だと知った黒騎士は彼女を魔王城に連れて帰る事にする。


「また子供を拾って来たのか」


数年の月日が経ち、魔王城は孤児院に変わっていた。

多くの子供を幹部達で育てる中、ある問題が魔王城にはあった。

それは子供達を育てる為のお金……。

初めは三人で回せる程の人数でペンダと黒騎士が地上に降りてはクエストを受けてお金を稼いでいたが、今では子供達が多く、稼ぎに行く余裕が無い。

そんな状態で自由気ままに旅をしては身寄りの無い子供達を拾ってくる黒騎士にガチュミは頭を悩ませていた。


「この前は魔物の子供を複数匹拾って来たよな」


「仕方ないだろ、飢え死にしそうだったんだから」


「ぐぬぬ、そうじゃが、このままではこの城に居る全員が飢え死にしてしまう」


「フッ、そう言うと思ってホラッ」


黒騎士は先程倒した魔物の肉をガチュミに差し出した。


「何じゃコレは?」


「魔物の肉だが?」


「馬鹿タレ、こんな肉、不味くて食えるか」


「そんな事は無い」

「舌も鍛えればどんな肉だって食えるさ」


「何を偉そうに、只の味覚音痴な癖に……」

(ペンダと良い、黒騎士と良い、コイツらは脳みそが筋肉で出来ているのか……)


頭を抱えるガチュミの元に小さな子供達が駆け寄って来る。


「ガチュミちゃん、遊ぼう」


「ねえ、ガチュミちゃん、魔物の赤ちゃんがお漏らししたよ」


「ギョッギョッ」


人間、魔物問わず子供に大人気なガチュミ。

そんなガチュミを見て、黒騎士は笑っていた。


「帰ってたのか」


「ペンダ、ああ今さっきな」

「それよりサライヤと雪花は?」


「城の物を売りに子供達を連れて人間界に行ってる」


「そうか、せめて魔王城に宝があれば良かったんだがな……」


そう呟く黒騎士。


「仕方ないさ、魔王は人間から宝を奪う様な奴じゃなかったし、先代の魔王の残した宝は先代の勇者達が根こそぎ持って行ったしな」


「先代の勇者ね〜、今の勇者は何処で何をしているんだろうな」


「さあな、きっとまだ人助けでもしているんじゃ無いか」


「確かにしてそうだな」


そう言って二人は勇者達を思い笑い合うのだった。


最終話 完

次回のエピローグで完結します。

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