第28話[罪は重い]
桜のグループ以外、クラス全員が私の味方になった。
これまでして来た事を自分達がされ、カースト最下位に転落した桜達。
彼女達を見て食べる給食は本当に美味しかった。
そんなある日、桜の仲間の一人が私と二人で話しがしたいと言って来た。
「光さん、私達もついて行くわ」
「ありがとう鈴音さん、でも大丈夫よ」
恐らく鈴音達は私が何かされるんじゃないかと思っているのだろうけど、実際は違う。
彼女は桜を裏切り、私達に寝返るつもりなのだろう。
そんな楽しい事、誰にも邪魔されたくないじゃない。
私は彼女の指定した場所へ一人で向かう。
そして予想通り、私達の仲間になりたいと訴えて来た。
「元々、桜の事、あまり好きじゃ無かったのよ」
「怒りっぽいし、女王様気取りな所とかウザかったし……」
「そう、少し考えたいから、また明日この場所で待ち合わせしない?」
そう言って朝、彼女とこの場所で待ち合わせをする事にする。
そして翌日。
「光さん、考えてくれた」
私より先に来ていた彼女に笑顔を向け、私はミルワームを彼女にプレゼントした。
「あ……、ありがとう」
「可愛いね、大切に育てるわ」
顔を引き攣らせて言う彼女に私はキョトンとした顔をして、こう言ってやった。
「可愛い?」
「美味しそうの間違いじゃ無くて?」
「へっ、美味しそうって……?」
「決まっているじゃない」
「これはあなたの餌よ」
「ほらっ、ピヨピヨって言って食べてごらんなさい」
「ほらっ、ほらっ‼︎」
彼女の手が震えている。
そんなに揺らすとミルワームが酔っちゃうじゃない。
何てね。
「こんなの食べれる訳……」
「誰が人間の言葉を喋っていいって言ったの?」
「あなたは小鳥何だから、ピヨピヨ言ってなさい」
結果、彼女はミルワームを食べ無かった。
それどころか、彼女は私にこう提案して来たのだ。
「これを桜に食べさせようよ」
この時、私は知った。
人は弱い生き物何だと。
結局、私もクラスの皆んなの力を借りて桜達を追い詰めている。
私一人では出来なかった。
私も弱い人間の一人なのね。
「ねっ、きっと面白いよ」
「そうね、あの子にも責任を取って貰わないといけないわね」
「責任?」
「私の給食にゴキブリを入れた責任よ」
私にあんな物を食わせようとした罰は重いわよ。
そう思い笑う私に彼女は話しかけて来た。
「だったら私が桜の給食にコッソリこれを入れてあげる」
「だから……」
「何を言っているの?」
「それはあなたの分よ」
「えっ……」
そう呟き、彼女は私の足にしがみつき、懇願する。
そんな情け無い彼女を見て、私はニヤリと笑い、彼女の耳元で囁くのだった。
「桜の目の前でそれを入れて、私の言う通りにしてくれるのなら、あなたは特別に許してあげるわ」
第28話 完




