第12話[ホムンクルス]
材料を集め終えた日菜達はブランガガルに戻り、リーサ達と合流していた。
「日菜さん、無事に材料を集め終えたのですね」
「うん、ってあれ?」
「ミカナタ達は?」
「魔物の団の人達なら用事があるとかで出て行きましたよ」
「そうなんだ」
どんな用事だろう?
そう思った日菜だが、先ずはララの肉体を作るのが先決。
そう思い、リーサ達を連れ、サーベリックの所へ向かった。
丁度そこにはアーネとレイナも来ていて、緑はレイナとの再会を喜び、リーサ達はアーネに街の人達を受け入れてくれた事を感謝した。
「ふむ、材料を全部集めて来たようじゃな」
「よし、それじゃあ錬金術を始めるとしようかの」
新たにメリナとズズも現れ、皆んながサーベリックの錬金術に注目する。
「先ずは精霊の雫と化け物イカの金◯を使って人体を作り出す」
瞬く間に全裸の女性の肉体を作り出したサーベリック。
「凄い、でもあれだけで肉体を作り出せるなら、他の材料は要らなかったのでは?」
「ふむ、そう思うのなら取り敢えず触ってみるといい」
サーベリックに言われ、日菜達は出来たばかりの肉体を触る事に……。
「冷たい」
そう呟く日菜を横に、サーベリックは作り上げた人体と生命の小麦を錬金術で掛け合わせ、人体に命を吹き込んだ。
「これで血が通い、心臓を初め、他の臓器が機能する様になった」
再び肉体を触る日菜達。
「凄い、暖かい」
後はモコモコ羊の毛を錬金術で使い、髪の毛を生やし、再生トカゲの尻尾で人間の持つ治癒能力を与える。
こうして出来た肉体をサーベリックは培養液の中に浸けた。
「後はララの魂を肉体に憑依させるだけでいい」
他の人間と変わらず歳を取り、生きていけると話すサーベリック。
日菜達は喜び、培養液に浸かったララの肉体を眺める。
「待っててねララちゃん、必ずララちゃんを救ってみせるから」
そう思いながら、勇者は拳を強く握るのだった。
第12話 完




