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第10話[毛刈り体験]

日菜達はお金を払い、モコモコ羊の毛刈り体験に参加していた。


「それじゃ、説明するど」


モコモコ羊は臆病で気弱な性格をしている。

過度なストレスを与えれば、毛の色が紫へと変わり、モコモコからトゲトゲへと変化するらしい。

そのトゲトゲを飲むと、全ての毛が抜け去り脱毛効果があると村人は日菜達に説明した。


「刈る毛は少量、それ以上刈るとストレスを与えてしまうから駄目だ」


こうして始まった、モコモコ羊の毛刈り体験。

少量の毛を頂くのだから簡単だろうと思っていた日菜達だったが……。

勇者が羊に蹴飛ばされ、悶え苦しむ事に……。


「プッ、アハハハ、いきなり羊に飛びかかるからだよ」

「ストレスを与えちゃ駄目って言ってたじゃん」

「ホラッ、モコちゃん〜、怖くないよ〜」


そう優しく声をかける日菜の顔面をモコモコ羊は蹴り上げた。

日菜の眼鏡は割れ、その破片が目の周りに刺さり、血が噴き出す中、日菜は痛みで悲鳴を上げていた。

その様子を見ていたスタリエが思わず叫ぶ。


「何が臆病よ」

「普通にモンスターじゃない」


スタリエの叫び声に反応してか、モコモコ羊は角を向け、スタリエに向かい突進してきた。

仲間達が次々とモコモコ羊にやられる中、緑は羊の蹴りを交わし、順調に毛を刈っていく。

だが、蹴りを交わされた事に腹を立てているのか、毛の色は紫に変色し、モコモコからトゲトゲへと変わっていた。


「ふむ、蹴らせろという事ですか?」


羊はニコリと笑い、毛が元のモコモコへ戻っていく。

そして緑めがけ背後蹴りをするが、緑はそれを避け、羊の毛を刈っていく。

再び変色し、羊が緑を睨む。

歯を噛み締め、眉間にシワを寄せる羊に対し、緑も同じ顔をして対抗する。


「あなたの蹴りが遅いから避けられるんでしょうが」


「メェー、メェー」


「分かりました、受けて立ちましょう」


羊が緑めがけ突進をする。

だが、緑はそれを交わし羊の毛を刈っていく。

緑に攻撃を当てるのが先か、毛を全て刈り尽くされるのが先かの人間と羊の壮絶なバトルが繰り広げられていた。

そして三分後、毛を全部狩り尽くされ横たわる羊の姿が……。


「私に勝とうなんざ、綿飴よりも甘いですよ」


圧倒的強さを誇った緑を見て、一匹のモコモコ羊が緑に近づいて来る。

緑の強さに惚れたモコモコ羊の雌。

猫の様に緑に顔を擦り寄せて来る中、緑は彼女の毛を少し刈り取った。


「ありがとうございます」

「お陰で材料が一つ手に入りました」


そう言って羊の頭を撫でながら、緑は後ろを振り返る。

するとそこには血塗れの日菜達の姿があった。


「……、何ですかこの地獄絵図……」


この後、日菜と勇者はスタリエの回復魔法のお陰で傷を治すと、ヤギのミルク風呂に入り、体の疲れを癒す事に。

そして、モコ牛の焼き肉を堪能し、村で眼鏡を購入して、日菜達は地底の街を目指すのだった。


第10話 完

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