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第8話[モザイク]

黒騎士の攻撃を幾度と交わし、刀で斬りつける緑ちゃん。

当然ながら、与えるダメージはゼロ。

この異世界で最強のステータスを持ちながら、与えるダメージは最弱……。

黒騎士に幾ら攻撃しても、緑ちゃんじゃ倒す事はできない。

だが、私はある異変に気付いていた。

黒騎士の息が上がっている。

スタミナ切れ、緑ちゃんはそれを狙っているのか。

希望が見えた矢先、ふと黒騎士は攻撃するのを止めた。


「もういい」


ボソリと呟くと彼女は私の方へ振り向いた。


「他の奴を絞め殺す」


そう言うと彼女は私に向かって歩いて来る。


「フッ、逃げるのですか」


緑ちゃんを無視して歩みを進める黒騎士。

私は恐怖からか、足が震えていた。


「ちょっ、無視しないで下さい」

「くっ、角なる上は……、お前の母ちゃんデベソ」


挑発を試みる緑ちゃんだったが……。


「私に母などおらん」


そう怒鳴り返されてしまう。


(くっ、こうなったらまた必殺技を……)


緑ちゃんが必殺技を繰り出そうとした時、瓦礫を崩し勇者が現れた。


「私の日菜ちゃんに……、近づくなぁ」


ベチョリと黒騎士の顔にモザイク必須な物が当たる。

酷い悪臭が黒騎士の鼻を刺激し、黒騎士は悲鳴を上げ、尻餅をついた。


「お前、こんな物触って正気か?」


そう言って勇者の姿を見て黒騎士は理解した。

全身モザイク処理が必須な勇者の姿。

私も緑ちゃんも必死で吐き気を抑えている。

そして、勇者の手にはアレが握られていた。


「正気かって?」

「正気だとも、見ての通り私は手遅れなの」

「だからあんたにも、同じ目にあって貰うからね」


ビチョっと歩く度に不快な音を鳴らしながら黒騎士に向かって歩みを進める勇者。


「く、来るな汚物勇者」


そう叫び、尻を地面につけながら後ずさる黒騎士。

だが勇者は止まらない。

手に持っているアレを怯える黒騎士の顔めがけ投げた。

再び顔面にヒットし、気持ち悪さからか遂に黒騎士は虹を吐き出してしまう。


「くっ、流石は勇者殿、何て恐ろしい技を……」


「恐ろし過ぎて、ちょっと敵に同情しちゃったわ」


「まだ、終わりじゃないから」


「ひっ、来ないで」


黒騎士はそう言うと、この場から走って逃げて行った。


「日菜ちゃん、私やったよ」

「褒めて褒めて〜」


そう言って近寄ってくる勇者を静止し、私は一旦距離を置く。

そして一言……。


「臭い」


第8話 完

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