第8話[謎の液体]
「へっ、あんな禿げたデブより、俺の方が良いって、その体に教えてやるよ」
「止めろ、俺の体は校長先生の物なんだ」
「いつまでそう言ってられるかな?」
「すぐに俺を求める様にしてやるぜ、オラっ」
「エクスタシィー」
イベルの叫び声が室内に響き渡る。
驚く日菜達を見て、イベルは垂れる鼻血を拭い、日菜達の前へと戻って行く。
「実に素晴らしい物を見せて頂きました」
「何の話し?」
そう尋ねる日菜にイベルはこれまでの日菜達の旅の記憶を覗いた事を話した。
実はイベルは緑のBL妄想を覗いている間に日菜達の記憶も覗いていたのだ。
そして影の存在、日菜達が求める物を知ったイベルは日菜達に協力する事を話した。
「本当ですか?」
「本当に精霊の雫を頂けるのですね」
「ええ、素晴らしい物(BL妄想)を見せて貰ったお礼です」
「今ならすぐに採れそうなので少々お待ち頂けますか?」
「はい、勿論です」
そう言って喜ぶ日菜だったが、数分後には完全に笑顔が消えていた。
何故ならイベルが席を立ち、個室の様な場所で何やらイヤラシイ声を上げたと思ったら、謎の液体が入った小瓶を手にして現れたからだ。
「コレが精霊の雫です」
「あの、原材料は?」
「秘密です」
絶対にアカン奴や……。
そう思う日菜に勇者は息を荒げながら言う。
「日菜ちゃん、私なんか興奮してきたよ」
「絶対に飲んじゃ駄目だからね」
これはララちゃんの為の物であって、勇者の性欲を満たす物ではない。
そう言って、日菜は精霊の雫をバッグに詰めた。
「それでイベルさんに相談があるのですが……」
残るアイテムは二つ。
モコモコ羊の毛に再生トカゲの尻尾。
この二つが揃えば、材料集めの旅が終わる。
そう思い、イベルに材料の在処を尋ねるのだが……。
「モコモコ羊なら天上の村にいます」
「再生トカゲは地底にある街の更に進んだ奥の洞窟にわんさか居ますよ」
「えっ……」
地上に居ないの?
てっきり、地上の何処かに生息しているもんだと思っていたよ。
何なら羊に関しては、そこら辺のモコモコした羊の毛を刈ればいいとさえ思っていたよ……。
「それと紹介状を書いておきますね」
「えっ、何の紹介状ですか?」
「戦の神と呼ばれたドラゴンゼブロスへの紹介状です」
「影はかなり強い」
「ですが彼の力を借りれば彼女を倒せるやも知れません」
そう言って、私達はイベルさんから紹介状を貰った。
モコモコ羊、再生トカゲ、ドラゴンゼブロス。
それぞれの目的地の場所を地図に書き記し、私達は先ずモコモコ羊の毛を刈りに向かう事にするのだった。
第8話 完




