第7話[森の精霊イベル]
観念した妖精達は日菜達を元に戻す代わりに手を離す様に緑に要求した。
その要求に従い、手を離す緑。
がっしかし、妖精達は日菜達を元に戻す所か、緑に暴言を吐き、飛び立って行くではないか。
「誰が元に戻すかブァーカ」
「そこで仲間達と野垂れ死ね」
尻を振り、緑を挑発する妖精達。
二体の妖精達は完全に緑を普通の人間だと思い、舐めていた。
その結果、木々を蹴り宙を飛ぶ妖精達を再び捉える緑。
今度は容赦なく妖精達を握る手に力を入れた。
「ずびばぜん、元にもどじまずから……、ぢがらをよわめでぐだざい」
元に戻った日菜達を見て、緑は妖精達を解放する。
「ハァハァ、凄いわあなた」
「ハァハァ、そうね」
「本当に人間とは思えない」
「はあ、そうですか」
何故だか妖精達に好意を向けられる緑に正気を戻した日菜が話しかけて来た。
「緑ちゃん、その子達は?」
そう尋ねて来る日菜に緑は落ち葉を拾い、逆に質問する。
「これは何ですか?」
「えっ、落ち葉だけど……」
「良かった、完全に元に戻ったのですね」
「んっ、何の話し?」
困惑する日菜に緑は可笑しくなった日菜のモノマネをして見せる。
「金じゃー、これは私の金じゃーってずっとやっていました」
「嘘……だよね?」
記憶が無くて信じない日菜に妖精達は魔法でその時の映像を日菜に見せてあげる事に……。
すると日菜は悲鳴を上げて、近くにあった大木に頭を打ち付けるのだった。
「ちょっと待って、私の服が乱れているのって、まさか……」
妖精達が日菜同様にスタリエにも映像を見せると……。
「殺してやるわ」
「そこの妖精達を今すぐ殺してやる」
鞭を持つスタリエを背後から羽交締めをし、勇者が妖精達に精霊の居場所は何処か尋ねる。
すると妖精達は顔を見合わせ、勇者達を精霊の所へ案内するのだった。
「イベル様、人間のお客さんを連れて来たわよ」
森の女王、精霊イベル。
彼女は自身の魔力を使い、迷いの森を管理している。
「ほう、私にお客さんですか……」
「少々お待ちを……」
そう言うとイベルは妖精達を手招きし、何故連れて来たのか尋ねた。
「だってあの子、私達の幻術が通じないんだもの」
「というとあの子は純粋な心の持ち主だって事?」
「まさか、男同士が抱き合っている本が大好きな変態よ」
「成る程、どれあの子の心を覗いてみましょう」
そう言うとイベルは緑の心の中を覗くのだった。
第7話 完




