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第82話[名誉]

お姫様とのデートを二回済ませた日菜の前で勇者が駄々を捏ねる。


「私も日菜ちゃんとデートしたい」


「いや、絶対変な事するでしょ」


「当たり前じゃん、一杯変な事するに決まってんじゃん」


欲求不満なのか、隠す気すらしない勇者に日菜は溜め息を吐いていた。

そんな中、リーサがモジモジし出す。


「んっ、どうしたの?」

「リーサちゃん」


「いや、別に……」


そう俯くリーサを横に、ナナンナが日菜にデートをしてやってくれないかと頼み込む。


「ちょっとナナンナちゃん……」


「まあ落ち着けリーサ、お前も頑張ってきたんだ」

「偶には息抜きがしたいだろ?」


「う、うん……」


「そっか、だったら私がこの国を案内してあげるよ」


「あっ、それはいいです」

「お姫様に見つかったら面倒臭い事になるので……」


「あっ、うん……、ごめん」


日菜がリーサに謝る中、勇者がナナンナにベルトベア王国に行かなくていいのか尋ねる。


「ベルトベア王国?」


「ああ、リーサちゃんは知らないか、ベルトベア王国はナナンナちゃんの故郷なんだよ」


そう説明する日菜、リーサとロイが目を輝かせて行きたいと言い出した。


「いや、私はあまり行きたくないと言いますか、その……、この格好を王様に見られたくありません」


でしょうね。

日菜達はそう思った。


「私もナナンナ殿の故郷、気になります」


「まあ、戦い続きだったし、息抜き程度にはいいんじゃない?」


緑に続きスタリエまでもが、ベルトベア王国に行ってみたいと言いだし、ナナンナは仕方なくベルトベア王国へ向かう事に……。


「大丈夫、その姿なら絶対にバレないって」


勇者にそう言われても、不安を隠せないナナンナ。

ベルトベア王国が近づくにつれ、ナナンナは気合いを入れ、頬を両手で強く叩いた。

大丈夫、私は今、か弱い少女ナナンナ。

断じてオッサンのジジルガでは無い。

そう自分に言い聞かせるのだが……。


「陛下このジジルガ、只今戻りました」


国王を前にし、片膝をつき挨拶をするナナンナ。

そんなナナンナを見つめ、王様はポカンと口を開けていた。


「お前は何を言っておるのじゃ?」


「ですから只今戻りました……、って陛下を前にしてつい癖でやってしまった……」


だが誰もナナンナの話しを信じる者は居なかった。

それどころかベルトベア王国が誇る、屈強な戦士ジジルガを貶されたと思い、兵士達から野次が飛んで来る始末。

それに腹を立てたナナンナは、とある薬を取り出し、兵士達に向け叫ぶ。


「いいかお前ら、今からこの薬を飲んで私がジジルガだという事を証明してやる」


日菜達が止める間も無く、薬を飲み干すナナンナ。

するとどうだろうか、幼きか弱い少女の体がゴツゴツとした屈強な体に変化していくではないか。

当然、ナナンナの着ていた服は避け、日菜達の前に露わになるジジルガのお尻。

それを見てしまった日菜達は一斉に虹を吐き出した。

そんな中、王様が叫ぶ。


「お……、お前は何をやっとるんじゃ」


兵士達からも称賛の声は無く、名誉だけが下がる結果に……。


「日菜ちゃんに汚い物、見せんじゃねー」


勇者がそう叫びジジルガを殴り、ベルトベア王国に屈強な戦士ジジルガという名誉は無くなり、新たに只の変態親父ジジルガという名前が残るのだった。


第82話 完

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