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第77話[若禿]

これであの方の元へ行ける。

血を吐き、倒れるフウカを前に勇者は上空を飛んでいる魔物を睨みつけていた。


「フフフ、私から逃げられる訳無いじゃない」


そう笑う魔物を見て、勇者は眉間にシワを寄せ、怒りを露わにする。


「あんたが魔王の娘?」


「ええ、そうよ」

「私が魔王の娘、そうねぇ、ムーって名乗ろうかしら」


剣を構える勇者の前にムーは地上に降り立った。

鋭い爪を見せ、人差し指を動かして勇者を挑発する。

その挑発に乗り、向かって来る勇者の攻撃を交わし、勇者の着ている鎧を爪で引き裂いた。


「凄い、これが私の力」

「幹部達と魔王の力の一部を引き継いだ私の力……、ああ影様感謝します」


そう喜び、舞い踊るムー、そんなムーに向かって勇者は立ち向かって行く。


「勇者、私も力を貸すわ」


そう言って日菜はムーから魔力を吸い取ろうとする。

だが……。


「何これ?」


魔法を発動した瞬間に流れ込んでくる映像。

その映像には幹部達の姿があった。

幹部達の拷問シーンが日菜の頭の中に入っていく。

それを見た日菜は堪らず、虹を吐き出してしまうのだった。


「日菜ちゃん、お前日菜ちゃんに何をした」


「何って、別に何もしていないけど?」

「勝手に私の魔力を吸おうとして自滅したんでしょ?」

「本当に馬鹿ね、影様がそんな技を対策もせずに放置している訳ないのにね」


「貴様……」


「フフフ、此処で私が勇者達を始末する」


影様は言った。

勇者達が強くなって私が敗れたのなら運命として受け入れると……。

ならば、私が此処で勇者達を殺したら、影様は運命だと言って受け入れてくれるかしら?

フフフ、きっと受け入れてくれる。

この程度の実力なのねと言って、勇者達を殺した事を褒めてくれる筈だ。

次第に雨が降り出して、そしてムーの背中に短刀が刺さる。


「ぐっ、何?」


振り返るムー、そこには厚着した緑が立っていた。


「勇者殿、日菜殿、何か被った方がいいですよ」

「でなきゃ、禿げてしまいます」


緑にそう言われ、初めは何の事か理解出来なかった勇者と日菜だったが、自分の服が溶けている事に気がつき、慌てて倒れている魔物の兵から兜を奪い、被るのだった。


第77話 完

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