表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
322/367

第74話[改心]

カエンを治療したスタリエは日菜達が向かっている始まりの国へ向かおうとしていた。

そんなスタリエを呼び止める緑、どうやらメルヘン王国のお姫様に会いたいようだ。


「駄目……、ですか?」


「良いに決まってるでしょ」


緑の上目遣いにやられてしまうスタリエ。

本当は早く日菜と合流したかったが、あんな目で見られては仕方がない。

緑だって、久しぶりに会う友人と話しがしたいだろうし……。

そう思い、スタリエは緑と一緒にメルヘン王国のお姫様に会いに向かった。

お城の者に聞いた所、林檎の果樹園に居るとの事なので、果樹園へ向かう事に。

焼けた木の前にポツリと立つお姫様。

彼女の表情は何処か悲しげだった。


(やっぱりカエンを治療しなければ良かったかしら)


そんな事を思うスタリエを他所に、緑はお姫様に声をかけに向かう。


「剣士様、助けに来てくれたのですね」

「フフフ、見て下さい、焼き林檎になっちゃいました」


弱々しく笑うお姫様を緑は強く抱きしめた。


「またお会い出来て嬉しいです」


「私もです」


まるで側に百合の花が咲いているかの様に、二人が抱き合う姿はとても絵になった。

羨ましい、いつか私も日菜とあんな風に……、そんな事を思いながら、スタリエは二人を眺める。

そんなスタリエに気付いたお姫様が「どちら様ですか?」と緑に尋ねた。


「ああ、彼女は私達の仲間のスタリエ殿です」


「初めましてお姫様、どうぞよろしく」


「はい、よろしくお願いします」

「それで其方の魔物さん達は?」

「勇者様達も見当たりませんが……」


緑は困惑しながらも、全てをお姫様に説明した。

上空のモニターに映し出された処刑の件、勇者達とは別行動をして世界を救う旅をしている事、そして……。


「そうですか、この方が森を……」


そう簡単には許す事は出来ないだろう。

緑もスタリエもそう思っていたのだが……。


「反省しているのであれば、私は許します」


「なっ、正気?」

「カエンを回復しといて言うのも何だけど、普通は許さないんじゃ……」


そう話すスタリエにお姫様はクスリと笑う。


「実は、マルカ様達とお会いしまして、少々考え方が変わりましたの」


マルカ達から全てを聞いたお姫様、彼女達魔物の団を快く許し、この国の為に戦ってくれた事に感謝した。


「ですから、反省しているのであれば私は許す事が出来ます」


そのお姫様の言葉に魔物達が改心する。

そして……。


「スタリエさん、始まりの国に行きましょう」


「ヒヒヒ、あそこには魔王の娘が向かっております」


「あんた達……、分かったわ、直ぐにでも出発するわよ」


「えっ、もう出発なされるのですか?」


驚いた表情を浮かべ、緑の手を両手で握るお姫様。

そして……。


「折角、剣士様と一緒に見ようと、殿方が抱き合っている本を新たに仕入れたというのに……」


「BL本を新たに……、スタリエ殿」


そう叫び、緑はスタリエに上目遣いをする。


「駄目……、ですか?」


「駄目に決まっているでしょ」

「日菜とBL、どっちが大事だと思ってんのよ」


そう言うとスタリエは緑の服の襟を掴み、引き摺りながら馬車へ向かうのだった。


第74話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ