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第73話[人殺し?]

緑は魔王軍幹部、カエンと対峙していた。

ミカナタ達は火を消しに城へ向かっている。

そんな中、緑は冷静になってカエンに向き合い、短刀を抜いていた。


「ヒヒヒ、息苦しくは無いですか?」

「人間は煙を吸い過ぎると死んじゃうのでしょう?」


成る程、奴はこの煙の中、私に激しい運動をさせ、煙を沢山吸わせるのが目的なのか。

だが、残念ながら狙い通りには行きませんよ。

一瞬で緑はカエンの首を斬り落とす。

そして緑は転がるカエンの頭に向かって言葉を投げかけるのだった。


「あなたの様な魔物が幹部を名乗らないで下さい」

「ペンダはもっと、強かった」


言っても無駄なのは分かっている。

首を斬り落としたんだ。

きっと即死だろう。

だけど、そう言いたくなる程、緑は怒っていた。

そんな緑の怒りを冷ますかの様に雨が降り、辺りの炎を鎮火していく。


「いたいた、どうやら無事みたいね」


「スタリエ殿」


スイからカエンの話しを聞いたスタリエは残党を海賊達に任せ、緑を捜していた。


「魔王軍幹部と聞いて激怒して、足元を掬われてんじゃないかと心配してたけど……、大丈夫だったみたいね」


そう笑いかけるスタリエを隣にスイがカエンの頭を持ち上げて、回復魔法をかける様にスタリエに懇願する。


「いや、もう死んでいるでしょう」


「そんな事、無いです」

「カエンはまだ生きています」

「ですから早く、手遅れになりますから」


首を斬られてまだ生きている何て……。

二人はその事に驚き、そしてスタリエが動き出す。


「ちょっとスタリエ殿、まさか助ける気ですか?」


「まあね、コイツも何かの役に立つかもしれないしね」


「ですがコイツは……、この森を……」


「そう、だったら止めるわ」

「魔物のお願いより、仲間の気持ちの方が大切だもの」


そう言って立ち上がるスタリエ。

それを見て、スイが緑を睨んで叫んだ。


「この人殺し」


緑に発せられた、その言葉にスタリエが反応する。


「スイ、黙ってくれる」


「ですが……」


「あなた達は人間を殺そうと地上にやって来たのでしょう」

「なら、殺されても仕方ないじゃない」


何も言い返せないスイ。

そんなスイを見つめながら、緑はスタリエにカエンを治療する事をお願いした。


「いいの?」


「ええ、スタリエ殿のお陰で自分の心が分かった気がします」


あの時、スタリエが治療をしないと言って立ち上がった時、緑の胸がチクリと痛んだ。

この戦いの中で私は殺す事に正当性を求めていたんだ。

誰かを守る為、笑顔にする為、だから悪い魔物達を殺す。

そう自分を正当化し、殺す事の言い訳にしてきた。


「話して分かって貰えるのなら、それに越した事はないです」

「だから助けてあげてください」


「もし、分かってくれなかったら?」


スタリエの問いに緑は笑顔で答える。


「その時はまた殺します」


「フフフ、何それ」


そう言って笑い合う二人を見て、スイは恐怖を感じるのだった。


第73話 完

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