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第71話[嫌い]

海の国周辺ではもう既に戦争が始まっていた。

敵軍が後一歩まで海の国スプララートを追い詰めている時にスタリエ達は到着する。


「オラっ、野郎ども飛び掛かれ」


海賊のボスの合図で大勢の海賊達が一斉に魔物達に向かって斬りかかって行く。


「敵兵は殺すんじゃねーぞ、半殺し程度にしておけ」


そう言って、敵兵の攻撃を交わし、敵兵の腹部を持っていた海賊刀で刺し、ゲラゲラと笑う海賊のボスの元にスタリエがやって来た。


「あんた戦になると人が変わるタイプ?」


「いや、そんな事は……、ちょっと昔を思い出して血が騒いだと言いますか……」


「兎に角、そんなデカい刀で人を刺したら死んじゃうじゃない」


そう言うとスタリエは刺された敵兵を死なない程度にまで回復させて、海賊のボスを連れ、お城に向かった。


「嫌です、戦わせて下さい」


「五月蝿いわね、これから王様に報酬を要求しに行くのよ」

「何、報酬よりもそんなに戦いたい訳?」

「海賊って本当に野蛮なのね」


「違います」

「私は只、あなたの側に居たくないだけです」


「……」


ハッキリと言われ絶句してしまうスタリエ。

そういえば昔、勇者がこんな事を話していたっけ。


「スタリエちゃんって、嫌われた事無いでしょ」


「何よいきなり」


「スタリエちゃんみたいな人は面と向かって嫌いって言われると直ぐに恋に落ちちゃうんだよ」


「はあ?」

「そんな訳無いでしょ」


その後、しつこく嫌いと言ってきた勇者の鼻の穴に指を突っ込んで、地面に叩きつけてやったっけ。

あの時は軽く流していたけど……。

すっごい傷つくわ。

恋に落ちる所のレベルじゃ無いんだけど?

えっ、私、この子に嫌われる様な事をした覚え無いんだけど……。

涙を堪えながら、スタリエは何とか王様の元に向かうのだった。


「スタリエ様、やはり来てくれたのですね」


抱きつくお姫様を剥しながら、それでいて海賊のボスの服はしっかりと掴みながらスタリエは王様に事の経緯を全て説明する。


「という訳でコイツに報酬を払ってやってくれないかしら?」


「う〜む、前にこの城を襲った件をチャラにするのではいけませんかな?」


「ほらっ、言った通りじゃないですか」

「タダ働きだよ、チクショウ」


嘆く海賊のボスを他所に、お姫様はゆっくりと立ち上がり、王様を見つめ、そして問う。


「お父様、スタリエ様の言葉は?」


「えっ?」


「スタリエ様の言葉は?」


「王の言葉……」


「ならば払いましょう」

「海賊達に報酬を」


力強い娘の言葉に王様は溜め息を吐き、海賊達に報酬を支払う事を承諾した。


「陛下、大変です」


「何だ、騒々しい」


「城下町の上空に魔物が一体、現れました」


王様の視線が痛い。

たくっ、ナナンナや海賊達は何をやってんのよ。


「ほらっ、行くわよ」


そう言うとスタリエは海賊のボスを引き摺り、城下町へ向かうのだった。


第71話 完

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