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第67話[チーム分け]

事の始まりはナナンナの一言だった。


「私達も勇者様の力になります」


その言葉を聞いた日菜は勿論、反対する。

危険な旅だ。

リーサ達に何が起こるかも分からない。

それにこの街にまた魔物が襲って来たらどうする?

戦えるナナンナが居なければこの街は今度こそ終わってしまう。

そう話す日菜に勇者が言う。


「日菜ちゃん、どの道また魔物達が襲って来れば、この街は終わるよ」


ナナンナ一人じゃこの街を守りきれない。

結局の所、ナナンナ達を置いて行こうが行くまいが魔物達が襲って来れば、今度こそこの街は終わってしまうのだ。


「今は出来るだけ人手が欲しい」


そう言って勇者はナナンナ達を仲間に加え、手分けして国を守る為に旅をする事を皆んなに伝えた。

そして発表されたチーム分けにスタリエが文句を言う。


「ちょっと待って、勇者と日菜、緑と魔物達の団、私とナナンナ達ってどういう事よ」


「そう言う事だよ」


「訳わかんないわよ」


勇者に殴りかかるスタリエだが、勇者はそれを交わし、日菜の後ろに隠れる。


「日菜ちゃん、スタリエちゃんがナナンナ達は使い物にならないって、日菜ちゃんはどう思う?」


えっ、私?

正直、私もスタリエちゃんと同意見だけど、今のこの状況でそんな事、言えないよ。


現状、勇者とナナンナ達が組む方がベストなのだが、その事を日菜は言い出せずにいた。

勇者だけなら大勢の魔物と渡り合える力がある。

その上でナナンナの力は充分なサポートになるのだが、対するスタリエは違う。

スタリエには大勢の魔物と渡り合えるだけのスタミナが無い。

その上でナナンナ達の力が加わった所で大したサポートにはならないだろう。

だが、それを言えばスタリエとナナンナ達を傷つけてしまう。

だからこそ、日菜は何も言えなかった。


「なら、アルとカミガオウを貸そう」


話し合いに参加していたミカナタがそう提案する。


「他にも助けに行った国で戦える兵士位いるだろうし、戦力はバッチリだね」


「何がバッチリよ」

「私に日菜を寄越しなさい」


勇者とスタリエが揉め、更に時間が過ぎて行く。

こうしている間にも、国や街が滅んでいるかも知れないのに……。

痺れを切らした日菜は机を叩き、二人の言い争いを止めた。


「私と勇者、緑ちゃんとミカナタさん達、スタリエちゃんとナナンナちゃん達とカミガオウにアルちゃん、これで行くよ」


「ちょっと日菜、私と一緒は嫌なの?」


「最近のスタリエちゃん、酷いから……」


日菜は今でも根に持っていた。

マグマの国で牢屋に入れられた時、不幸体質をイジった件、ブランガガルで勇者の魂を戻す際に水晶が割れると騒いだ件、それらを忘れていない事をスタリエに伝えると……。


「マグマの国では勇者も不幸体質イジってたでしょ」

「それにセクハラされるわよ」


「不幸体質をイジられるよりマシだよ」


そんなに傷ついていたの……。

何も言えず黙るスタリエ、そんな中、ナナンナはリーサを日菜達と同行させる様に提案した。


「二人が戦っている間、リーサは街の人達を避難させる様、誘導すれば良い」

「彼女なら役に立つと思いますが……」


「何言ってんの?」


勇者の視線が怖い。

その視線の所為で黙ってしまうナナンナだが、リーサはこのチャンスを逃さなかった。


「必ず役に立って見せますから、どうか私をお供に……」


「勿論だよ」

「リーサちゃんが居れば、勇者も下手にセクハラして来ないだろうし、大歓迎だよ」


こうして日菜達は始まりの国へ、緑達はメルヘン王国へ、そしてスタリエ達は、この街の人達を連れ、一時的にブランガガルに避難させてから海の国へ目指す事となった。


「いい、道中立ち寄った国や街、村が襲われていたら助けるんだよ」


そう約束をして、それぞれが馬車と運転手を雇い旅に出るのだった。


第67話 完

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