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第65話[サボり]

日菜との再会を果たしたリーサはぶりっ子をしていた。

涙目になりながら日菜に体を寄せるリーサ。

啜り泣く感じで彼女は日菜に「怖かったよ」と言って甘えるのだった。

その様子を見ていたナナンナは日菜から回復薬を奪う。


「私が街の人達に配って回りましょう」

「魔法使い様はリーサと一緒に居てやってはくれませんか?」


「でも……」


「私も乙女の端くれ、リーサがどれだけ怖い思いをしたのか分かります」


いや、ナナンナちゃんはオッサンだよね?

ジジルガって言う名のオッサンだよね?

乙女の端くれも何も無いじゃ……。

などと言える訳も無く、日菜はリーサを慰める事にした。

だが、日菜はそれが演技だとは知らない。

そしてナナンナはそれが演技だと知っていた。


(リーサ、頑張るんだぞ)


(ナナンナちゃん、ありがとう)


ナナンナとリーサは、お互いに日菜に隠れ、親指を立てる。

そして、日菜の腕を掴み、リーサは日菜をスタリエ食堂に案内するのだった。


「今は私が料理しているんですよ」

「そうだ、日菜さんに私の作った料理を食べて貰いたいです」


そう言って、リーサがキッチンへ向かう途中に勇者が現れる。


「日菜ちゃん、聞いたよ」

「サボってるんだって!」


「いや、サボって無いよ」

「私の代わりにナナンナちゃんが……」


「だったら私を手伝うとかしたらどうなの?」


日菜の前に置かれた大量の回復薬。

勇者から視線を逸らす日菜に勇者は更なる追撃の言葉を投げかける。


「人の命に関わる事なんだよ」


「うっ、だったらこんな所に来ないで薬を配り続けたらいいじゃん」


「日菜ちゃん」


机を叩き怒鳴られた日菜は素直に勇者に謝る事にした。

それを見ていたリーサは日菜との時間を失ってしまうと思い、咄嗟に勇者に声をかけるのだった。


「あの、勇者さんも私の作った料理、食べてくれませんか?」


「あっ、頂くよ」


「頂くの?」


咄嗟にそう叫び立ち上がる日菜。

先程まで人の命に関わる事だと言っていた癖に……。

そう思い、睨む日菜に勇者は笑顔を向けた。


「だってお腹空いたんだもん」

「それに重傷者は見当たらないし、きっとスタリエちゃんが楽したいだけだよ」


「えっ、そうなの?」


「うん、殆どが擦り傷程度のものだったよ」


「へぇ〜、なら何で私を責めたの?」


「……、あ〜、お腹が空いたな〜」


話しを逸らし、やり過ごそうとする勇者の頭を日菜はガシリと掴んだ。


「ねえ、何でなの?」


「いや〜、何となく……」


「馬鹿」


二人がそんなやり取りをしている間に緑がスタリエ食堂へやって来た。


「あれ?」

「緑ちゃん、もう配り終えたの?」


「いえ、何か明るい感じの女性が現れて、私の名前を呼ぶと、回復薬を配ってくれると言うので任せました」


(あっ、多分ロイちゃんの事だ)

(フフフ、緑さん気づかなかったんだ)


「宿屋に行けば負傷者が居るかもと思い、来てみたのですが、皆さんは何を?」


「ご飯だよ」

「緑ちゃんも座りなよ」


「はあ、でもいいんですかね?」

「スタリエ殿がまだ走り回っているのに……」


「大丈夫大丈夫、言ってそんなに負傷者は居なかったでしょ?」


「はい、擦り傷程度なら沢山居ましたが……」


あっ、やっぱりそう何だ。

結構な数の魔物達が居たから負傷者がかなり居ると思っていたけど、実はそうでも無いのかな?

そう日菜が考えていると、リーサは料理を完成させて、それらをテーブルの上に置いていく。

それを「美味しい」と言って食べていく一同、そんな中、リーサが日菜にこれからこの街でずっと暮らしていけるのか尋ねていた。


「ごめん、それは出来ないよ」


今の現状をリーサに説明する日菜。

リーサはショックを受けるも、日菜達の活動を応援する事にする。

そんな中、鬼の形相をしたスタリエが現れるのだった。


第65話 完

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