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第56話[希望の光]

ギルドギギア国との戦争が終わり、功労者である勇者を城に招き、盛大にパーティーを開こうと思っていたアーネだったが、緑の姿を見て、絶句していた。


「ハァハァ、疲れた」


「ちょっとスタリエちゃん、何で私達より先にお城に向かったのに私達より遅く着くの?」


「五月蝿い馬鹿、私は緑をおんぶしながら走ったのよ」

「多少疲れて休憩もするわよ」


「スタリエ殿、多少では無いと思うのですが……」


「はあ?」

「あんたがそれ言う?」


「まあまあ、落ち着いてスタリエちゃん」


勇者様達に何があったのか分からない。

でも、緑さんの姿を見て、只事では無い事があったのは確か、なのにどうして、皆様はいつも通りなのかしら?

そう考え、戸惑うアーネ。

そんな中、謁見の間の扉が勢いよく開かれてレイナとサーベリックが姿を現した。


「緑、来てくれたんだな」


友達の緑が助けに来てくれて喜ぶレイナだが、緑の姿を見て「どうしたんだその体」と叫び驚く。


「まあまあ落ち着け、レーちゃん相手は魔王、只では済むまい」

「所でララの姿は何処じゃ、もしかして魔王にやられてしまったのか?」


暗い表情の勇者達を見て、アーネもレイナもサーベリックも魔王に殺されたのだと勘違いをする。

そんな三人に勇者達は魔王城で何があったのかを話した。


「成る程、そんな事が……」


「それでサーベリックちゃんにお願い」

「ララちゃんの人格だけ吸い出すアイテムを作ってくれないかな?」


勇者の頼みにサーベリックは困惑する。

人格を吸い出すアイテムを自分が本当に作れるのか?

そう自問自答するサーベリックの背後から魔法使いのメリナが現れた。


「どうやら私の出番のようね」


勇者がブランガガルに来た事を知ったメリナはズズを連れて、お城に来ていたのだ。


「お姉ちゃん、久しぶり」


そう言って駆け寄るズズを日菜が抱きしめる中、勇者はメリナに問うた。


「人格を吸い出すアイテムを持っているんですか?」


「いいえ、持っていないわ」

「だけど、それに近いアイテムなら知っているわ」


吸魂の水晶。

悪しき者の魂をその水晶に封じ込めるアイテムで過去に悪い魔法使いがその水晶に封じ込められたとか……。


「まさか魔法使いの敵である水晶の名前を私が口にするとは思わなかったわ」


「いや、悪い魔法使いを封じ込めるんですよね?」

「全ての魔法使いが悪いとは限らないんじゃ……」


勇者のツッコミにメリナが答える。


「何を言っているの、魔法使いの殆どが性悪の極悪人よ」


一同が日菜に視線を向ける中、日菜はメリナに向かって叫んだ。


「適当な事、言わないで下さい」


「フフフ、冗談よ」

「それでさっき、悪しき者の魂をって言ったけど、別に悪しき者じゃなくても、封じ込める事は出来ると思うの」


悪い魔法使いや魔物に対して使われているだけで、今回のケースの様にララも封じ込める事が出来る筈だと語るメリナ。

その封じ込めた魂を別に用意した肉体に憑依させてあげればララを救える筈だと勇者達に話した。


「ふむ、肉体か……」

「よし、それなら私が錬金術で用意しよう」


希望の光が見えて来た。

これでララを救える。


「そうだレイナちゃん、緑ちゃんの右手と右足を作ってくれないかな?」

「どうしても友達のレイナちゃんに作って貰いたいんだって」


「ちょっと日菜殿……」


赤面する緑をレイナが力強く抱きしめる。


「ああ、任せておけ」

「最高の義足と義手を作ってみせるぜ」


この後、勇者と日菜とスタリエはメリナから水晶がある場所を聞いて、氷の国へと向かう。

三人が帰るまでに義足と義手を作り上げる事を約束し、緑はブランガガル国に残る事になったのだった。


第56話 完

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