第3話[不幸な女子校生]
私の名前は雛野日菜。
何処にでもいる女子校生。
今日も朝早くに自宅を出る。
そして、いつもの如く犬の芸術品を踏んでしまった。
毎朝、公園で靴を洗うのが日課になってきているなぁ。
まあ、運がついたと考えればいいか。
今度、宝くじでも買ってみようかな。
何ちゃって。
そんな下らない事を考えながら私は学校へ向かい、友達と仲良くお喋りをして、真面目に授業を受ける。
そして学校が終わり、帰宅している最中だった。
不意に躓き転けてしまう。
そして、私の頭上からガラスが落ちて来て……。
派手な音と共に私の首と腕が吹き飛んでしまう。
そして私はその様子をあの世のモニターで見せられていた。
「という訳であなたの人生は終わりました」
「だけど嘆く事はありません」
「異世界にいる魔王を倒し、天寿を全うしたのなら、特典として来世では幸福な日々を過ごせますよ」
何だろう、色々と納得いかない。
つか、あのナレーションは何?
私、犬の芸術品を踏んで宝くじでも買おうかな何て思わないよ。
ていうか、モニターで観ていて思ったけど、私って不幸体質なのかなぁ。
犬の芸術品をやたら踏むし、カラスにまで芸術品を落とされ家に帰って着替えた事も多々ある。
交通事故にだって何回も巻き込まれた事があるし、何度も入院するから医者からお祓いに行ってみてはと勧められた事だってある。
あっ、お祓いで思い出した。
海で泳いでいたら幽霊に何度か足を引っ張られた事だってあったっけ。
「あなたはこっち側だから」
「あなたはこっち側だからぁ〜」
と何度も言われ殺されかけた事がある。
そんな不幸な私が何で異世界転生してまで来世の幸福を勝ち取らなければならないのだろうか?
正直、不満だが、異世界転生について知識が全く無い訳でもない。
まあ、楽に魔王を倒せるなら別に協力してあげてもいいか。
「あの、本当に幸福になれるんですよね?」
一応確認しとかねば。
「ええ、異性からはモテモテ、お金はジャンジャン入り、アイドルになりたかったら簡単になれて、すぐにトップアイドル」
「他にも漫画家になればすぐに売れっ子に、動画配信しても人気になり、あなたがする事全て成功します」
なるほど、最高じゃない。
私は異世界転生をする事にした。
第3話 完