表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
299/367

第51話[英雄]

全国中継されている中、ガチュミと雪花は死んだ。

次に犠牲になったのはサライヤだった。

彼女は肉を削ぎ落とされ、痛みと苦しみの中、悲鳴を上げて死んで行く。


「どう?」

「街の人達の反応は?」


「はい、凄い歓声です」


でしょうね。

その為に魔王を使い、幹部達に国や街、村を滅ぼす様に指示を出したのだから。

魔王軍幹部に対しての人々の怒りは計り知れないでしょう。

友好国を滅ぼされ、領地にしている街や村を滅ぼされた。


「この中継を通じ、私は勇者の仲間として魔王と影、そして幹部達を捕らえた事を全世界に流す」


するとどうだろう。

こんな残酷な事をしても、私は英雄として全世界の人間達から崇められる事になる。

ねえ、勇者。

あなたもこの中継を見ているのかしら?

大好きなペンダ達が殺される姿を見てどう思う?

ああ、今のあなたの顔を見れないのが残念だわ。


「さて、一番の功労者のペンダには特別に楽に殺してあげるわ」


あなたが勇者達と仲良くなってくれたお陰で、こうして最高のショーを開く事が出来た。

あなたが勇者達と出会い、旅をする事になってから、私はララの中でずっとこの時の事を考えていた。

勇者が私を殺さなかった時の事を……。


「さあララ、出番よ」


影はそう言うと、ララと人格を入れ替える。

ただし、あくまで体の支配権は影にあり、ララは影に操られる様に斧を握らされた。


「ごめんなさい」


そうペンダに謝るララ。

そんなララにペンダは優しく微笑んだ。


「気にすんな、悪いのはお前じゃ無い」

「くそっ、影の奴、悪趣味が過ぎるぜ」


その言葉を最後にペンダは首を斬り落とされた。

ララの叫びが室内に響く。

噴き出すペンダの返り血を浴びながら、人格は影へと戻って行った。


「最後はあなたね、黒騎士」


斧を投げ捨て、剣を握る。


「あなたは本当に従順な犬だったわ」

「だって、魔王に自慢の娘だって言わせれば、何だって言う事を聞いたんだもの」


大口を開けて笑う影に向けて、黒騎士は唾を吐いた。

それが影の口の中に入り、影は不快そうに床に唾を吐きかけた。


「くたばれバーカ」


挑発的にそう言うと黒騎士は影に向かって舌を出した。

その舌を剣で斬り落とす影。

だが、黒騎士は痛みに顔を歪める事も無く、影を睨みながら、出血多量で死んでいった。


「何てくだらない殺し方かしら」


自分自身に嫌気がさす。

くだらない挑発に乗ってしまった。


「後片付けが終わったら言って、これから人間界に向かうから」


魔王の娘にそう言うと、影は返り血を洗い落とす為、シャワーを浴びに向かうのだった。


第51話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ