第46話[異世界召喚]
それから私は退屈しのぎの為、部屋にある本を読み漁って行った。
するとどうだろうか、此処に書かれている人間達の話しを読んで、私の中で人間という生き物の評価が変わっていくではないか。
同族同士で殺し合い、集団で一人を省いて追い詰める。
これが人間という生き物なのか……。
「フフフ、面白い」
人間の残虐さに触れ、私は心を昂らせていた。
そんな時、一冊の本を読み、私は思わず「これだ」と口ずさんでしまう。
異世界から人間を召喚する方法。
そう書かれた本を見つめ、魔王に召喚される人間は一体どんな奴何だろうと勝手に妄想し、心を躍らせていた。
「拷問狂?」
「それとも殺人狂?」
「ハァ、一体どんな人間が来るのだろうか」
異世界召喚、してみたい。
私は心を入れ替えた振りをして、この部屋からの脱出を試みた。
黒騎士は簡単に騙され、魔王も私が心を入れ替えた事を大いに喜んだ。
そして、数年後。
私は魔王に異世界から人間を召喚する事を提案した。
「異世界から人間を召喚か……」
「ええっ、やはり異世界の知識は必要だと思うのです」
「人間と魔物が共に生きていく世界、きっと召喚された人間なら叶えてくれると思いますわ」
早く頭を縦に振れ。
私はこの時の為に、したくも無い媚を売ったんだ。
「分かった、やってみよう」
「ありがとうございます」
異世界からの召喚は私と魔王とで行った。
召喚された人間が極力怖がらない様に発案者の私と実行者の魔王、二人だけでやろうとなったのだ。
そして待ち侘びた異世界召喚。
この世界をめちゃくちゃに壊してくれる人を期待していたのだが……。
「ひぃ、何ですか此処は……」
召喚されたのは、か弱い少女だった。
第46話 完




