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第42話[許さない]

うずくまる勇者を踏み付け、影は勇者を罵倒する。


「あなたにはガッカリしたわ」

「何が出来ないよ」

「やらなければどうなるかも分からないで良くそんな事が言えるわね」


影が勇者にそう声をかけている中、影の心の奥底ではララが体の所有権を奪おうと奮闘していた。

だが、どんなに足掻いてもどうする事も出来ないでいる。

少しでいい。

少しだけ自由に出来るのなら、私は手に持っているナイフで自害する事が出来る。

あの時、勇者さんに殺してくれと頼むんじゃ無かった。

人に頼らず、自らの手で死を選ぶべきだったんだ。

自分の覚悟の無さに嫌悪感を抱き、そして後悔する。

そんなララの感情でさえ、影は感じ取っていた。


(無駄よ)

(あなたがどんなに後悔しようが、自殺何て出来ない)

(だって、私が必ず止めるもの)

(只死ぬだけなんてつまらない)

(誰かの心に傷をつける程の悲しみを与えないと、でなければ私はその人の傷として生きられないじゃない)

(最も、今となってはそれも叶わないでしょうけど)


影は天を仰ぎ笑う。


「今此処で、あなた達を殺し、私はこの世界を地獄へと変える」

「魔物も人間も全てが辛く苦しい地獄の世界を作り出して見せるわ」

「勇者、あなたはまだ殺さない」

「私を殺さなかった罪を背負いながら、この世界が地獄に変わって行く様を見届け、そしてようやく殺して上げるの」


楽しそうに笑う影を見て、スタリエは「狂っている」と呟く。

日菜も杖を構え、戦いの準備をする。

そんな中、黒騎士が現れた。


「魔王様、そんな……」


肉塊になった魔王を見つめ、黒騎士は鉄仮面を外し涙を流す。


「嘘つき……」

「殺さないと約束したのに……」


膝をつき、嘆き悲しむ黒騎士に日菜は事情を説明しようと話しかけるが、黒騎士は「五月蝿い」と怒鳴り、日菜の話しを遮った。

そして大剣を握り、勇者を睨む。


「殺してやる」


そう言って迫る黒騎士に緑が「殺したのは私だ」と叫び、勇者を庇うが黒騎士は止まらなかった。

予想外の復讐劇に影が笑う。

このまま勇者が嬲り殺されるのも、それはそれで面白いかもしれない。

そう影が心変わりした時だった。

黒騎士が影目掛け大剣を投げる。

それを避けた隙に、黒騎士は勇者を抱え、そして緑も抱え逃げて行く。


「出来した黒騎士、サライヤもスタリエと日菜を抱え逃げてくれ」


そうサライヤに指示を出し、ペンダが魔物の兵を引き連れ、影の前に現れるのだった。


第42話 完

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