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第38話[魔王]

魔王城最上階のレッドカーペットを歩く日菜達。

それぞれが回復薬を飲み、準備を整える中、勇者は扉の前に立ち、これまでの冒険を振り返っていた。

いよいよ魔王戦。

覚悟なら出来ている。

そう意気込み、勇者は魔王の部屋の扉を開けた。


「うっ……」


部屋の扉を開けただけで、漏れ出して来る魔王の邪悪な魔力。

それを感じ取った日菜達は思わず手で口を塞いだ。


「駄目だ」

「前に進まないと……」


勇者を先頭に日菜達は前を進む。

そして日菜達は椅子に座る魔王の前までやって来た。


「ふむ、その様子だと幹部はおろか影まで破れてしまったか」

「使える奴だと思い、特別待遇してやったと言うのに」


そう言って溜め息を吐く魔王を見て、勇者は怒りを露わにする。


「何でそんな事が言えるの?」

「皆んな、あなたの仲間でしょ」


「仲間?」

「駒の間違いでは?」


試練の洞窟で見た魔王と全くの別人。

そう思ってしまう程、魔王は変わっていた。

何故、こんなにも違うのか。

勇者は試練の洞窟で見た、魔王の過去を話す。

すると魔王は腹を抱え笑い始めた。


「それは誰から見た過去なんだ?」


「えっ?」


「ガチュミか?」

「それとも黒騎士か?」

「残念な事に、私は人間と共存した事なんて一度もない」

「只、ガチュミ達を利用する為に共存したという話しはした事があるがな」


「どういう事?」


そう呟く勇者にスタリエが説明する。

試練の洞窟で見た魔王の過去は魔王ではなく、誰かの記憶により作られた再現VTRなのではないかと。

つまりあれは魔王を想う誰かの記憶であり真実じゃない。

魔王が初めに人間と共存し生きて来たあの映像も全てその人がそう聞かされ信じたから出来た物。


「初めっからコイツは人間と共存する気なんて無いのよ」


スタリエの言葉に魔王は拍手をして応える。

全ては世界を支配する為。

世界さえ支配してしまえば、幹部も黒騎士も影も全てが用済みだ。


「もっとも、奴らは勇者も殺せない役立たずだったがな」


魔王のその言葉を聞き、勇者は激怒し剣を抜き、龍玉の力を身に纏った。

そして勇者が魔王に突っ込む中、日菜が老師から教わった魔法で魔王から魔力を奪う。

刹那、日菜の目から血の涙が流れ出す。

視界が赤く染まり、日菜は吐血しながらその場に倒れ込む。

魔王の邪悪な魔力が、日菜の体を攻撃しているのだ。

その事に気づいた日菜が勇者に声をかけようとするが……。


(駄目、逃げて、このままじゃ、皆んな殺されちゃう)


だが、金縛りでもあったかの様に言葉が出ない。

そして、勇者は魔王に吹き飛ばされ、壁に体を強く打ちつけ、そのまま倒れていくのだった。


第38話 完

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