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第34話[邪悪なる影]

勇者に負けた黒騎士は涙を流しながら魔王を殺さないでくれと懇願する。

そんな黒騎士に対し、勇者は剣を下ろし答える。


「どうしてそんなに魔王を想うの?」

「育ての親だから?」

「だったら……、これまであなた達に殺されて来た人達はどうなるの?」


これまで多くの人間を殺して来た。

当然、中には黒騎士の様に両親や子供達に生きていて欲しいと願い死んでいった者も居る。

それなのに……。

勇者は溜め息を吐くと黒騎士にガチュミ達と約束した話しをする。


「安心して、魔王がもう人を殺さないと約束し、尚且つ人々が魔王を許すのなら私は彼を殺さない」

「その為にも、あなた達はどうしたら人々に許して貰えるかしっかりと考えて欲しい」


剣を鞘に収めると、勇者は次の階に向かい歩みを進める。

そして数歩あるいた後、勇者は立ち止まり黒騎士にこう言った。


「魔物と人が共存できる世界、出来るといいね」


再び歩みを進める勇者に黒騎士は「ありがとう」と言って、その場で泣き崩れた。


七階に上がり待って居たのは仮面を被った少女。

辺りにはモヤみたいな霧があり、部屋は薄暗い。

そんな中、仮面を被った少女、影が笑う。


「これまでの戦いをずっと見てたわ」

「ねえ勇者、私もあなたと一騎打ちがしたいの」


「望む所だ」


勇者はそう言って剣を抜き、影に向かって斬りかかる。

影は勇者の攻撃を交わすだけで一切、反撃しようとしない。


「避けているだけじゃ私は倒せないわよ」


勇者の言葉を聞いて影が笑う。


「まるで悪役の台詞ね」


影の挑発に乗ってしまう勇者。

だが、中々攻撃が当たらない。

そんな中、チャンスが恵んで来た。

影が体勢を崩し転んだのだ。

このチャンスを逃しまいと、勇者が影に斬りかかった。

振り下ろされる剣。

飛び交う血。

そして日菜の悲鳴。

目の前で血を流す日菜を見て、勇者は手を震わせていた。


何で?

何で日菜ちゃんが血を流しているの?

先程まで影だと思っていた人物が日菜に変わり混乱する勇者達。

誰もが影だと思っていた。

それが何故?

立ち尽くす勇者達に影は笑いながら言う。


「この空間は全てを惑わすわ」

「自分が立っている立ち位置、人、それら全てを……」

「そんな中であなた達は私を殺す事が出来るのかしら?」


第34話 完

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