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第29話[いざ魔界の地へ]

宴を終え、しばらくの休息を得て日菜達は魔界に向かう準備をする。

魔界へはドラゴン族のお姫様が連れて行ってくれるのだが、日菜達は少し心配していた。

お姫様が運べる人数は一人。

魔界へは一人ずつ運んでくれるのだろうか?

何回も往復して辛いだろうし、もっと他の方法は無いものかと日菜達は考えていた。


「フフフ、私なら大丈夫です」

「確かに人型ではありますが、私の体にはドラゴンの血が流れていますので、それを使えば皆さんを運ぶ事ができます」


それを使えばねぇ。

これまで旅をして来て、特別な事は無かった。

それで果たして皆んなを運ぶ事が出来るのだろうか?

スタリエがそんな事を考えている時だった。

まるでスタリエの考えを読んでいたかの様にその疑問について光の国のお姫様が答えた。


「ドラゴン族のお姫様には光の雫を浴びて貰いました」

「ですので今の彼女は覚醒状態にあります」


何それ。

私も浴びたいんだけど……。

いや私の場合、不幸体質が覚醒状態になったら大変だから止めて置いた方がいいのかな?

などと考え、日菜は溜め息を吐いた。


「さあ、ドラゴン族のお姫様、今こそ力を解き放つ時です」


その言葉に頷くとドラゴン族のお姫様の体が光だし、そして大型のドラゴンに変身していった。


「これならば、皆さんを魔界へ連れて行く事が可能です」

「さあ、私の背中に乗って下さい」


そう言われ日菜達はお姫様の背中に乗り、魔界を目指すのだが……。


「ヒィィィ」


空を飛ぶ事、五分。

日菜とスタリエは悲鳴を上げていた。

それもその筈、お姫様の体は九十度傾いており、日菜達は鱗を掴んでぶら下がっている状態。

それに加え空を飛ぶスピードもあるのだから怖くて仕方がない。


「痛っ」


ドラゴン族のお姫様がそう呟くと日菜が持っていた鱗が剥がれ落ちる。


(あっ、死んだ)


そう思った瞬間、スタリエが日菜の手を掴んだ。


「絶対に離さないから」


スタリエの心強い言葉。

だが、その力強い言葉もお姫様の一言で絶望へと変わっていく。


「うっ、また」


スタリエの手に握られた鱗が剥がれ、二人は死を覚悟する。

そんな中、今度は緑がスタリエの手を掴んだ。


「今引き上げますから」


二人分の重さを楽々と持ち上げ、鱗をしっかりと握らせる。


「首周りに移動しましょうか?」


恐怖で体を震わせる日菜達をサポートしつつ、お姫様の首周りまで移動させ、お姫様の肩をしっかりと握らせた。

そして空を飛ぶ事、三十分。

魔界の地上に降りた日菜とスタリエは体を震わせていた。


「私は足手纏いになるといけないのでこれで」


「うん、ありがとう」


勇者はそう言ってお姫様を見送る中、日菜とスタリエは体の震えで一歩も動く事が出来ないでいた。


「大丈夫?」


日菜達を心配する勇者。

そんな勇者に対し、二人はカチカチと歯を震わせて何も返事が出来ないでいる。

そして二時間の時間が経過し、ようやく二人は動ける様になった。


「よし、それじゃあ魔王城に向かうよ」


第29話 完

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