第22話[真・光の国]
「よくぞ参られました」
光の巫女を中心として左右に生き延びた人々が祈りを捧げている。
「さあ勇者様、そしてその仲間達よ」
「私が貴女達を本当の光の国へと案内させて頂きます」
そう言うと光の巫女は勇者達を自分の前へ呼び、祈りを捧げた。
するとどうだろうか、さっきまで地下に居た筈なのに、空があり、下には雲が見えていた。
別に宙に浮いている訳も無く、足場と呼ばれる物もない。
だが、一歩踏み出せば地面を歩いている様な足場が確かに存在していた。
不思議な感覚に襲われながらも、日菜達は真っ直ぐ進み、門の扉を開けた。
するとそこには城下町が広がっていて、子供達がやって来た。
「もしかして勇者様?」
「じゃあこれで、他の子達もこの国にやって来れるの?」
「やって来れるってどういう事?」
日菜の問いに女の子が笑顔で答える。
どうやら生き延びた人達は光の巫女の力でこの国に避難させられたらしい。
だが、勇者達がいつ来てもいい様に力を残す為に一度に三人しか送れず、更に力が回復するまでかなりの時間がかかると言う。
「勇者様達が来たって事は他の人達もこの国に避難出来るって事だよね」
「ああ、早く会いたいなぁ〜」
子供達とそんな会話をしていると、城の兵士が現れ光の国のお姫様が呼んでいる事を伝えに来た。
兵士の案内の元、お姫様に会いに行く日菜達。
大きなお城に入り、長い廊下を歩き、階段を登ってお姫様の所へ辿り着く。
「お待ちしておりました」
「父と母が不在の為、私が代理にこの国の王を務めさせて貰っているヒヤリマと申します」
「どうやら龍玉をお持ちの様ですね」
「でしたら早速我が国の試練を受け、かつて勇者様が使っていた伝説の剣を手に入れて……と思いましたが、長旅でお疲れでしょう」
「今日はこの城でゆっくりとして行って下さい」
お姫様はそう言うと、兵士達に勇者達が休む部屋を案内させた。
そして、その日の晩。
勇者達の歓迎の宴が開かれて楽しく夜を過ごして行った。
第22話 完




