第3話[ドラゴン達の王国]
魔王軍が攻め入り、ドラゴン達は鋭い牙、吐き出す炎で応戦する。
幾ら中立の立場とはいえ、相手はドラゴン。
力は強く、皮膚は鎧の様に硬い。
そんなドラゴン達を前にし黒騎士の部下達はやられていく。
「怯むな、突き進め」
大剣でドラゴン達を薙ぎ倒し進む黒騎士の姿に部下達のやる気は上がり、黒騎士に続いてどんどん攻め入って行く。
その事を知ったドラゴンの王は娘に国の宝を渡し、勇者にそれを託す様指示を出した。
「嫌です」
「私もお父様と共に……」
「分かってくれ、お前はドラゴン族唯一の人型ドラゴン」
「勇者に会えずとも人間が何かしら力を貸してくれるやも知れん」
「ワシらだったら怖がられてしまうからな」
冗談を言いつつ、ドラゴンの王は兵士に娘を連れ出す様命令する。
「さて、魔王に味方する人間よ」
「まさかコレ程までに強いとはな、正直驚いたぞ」
黒騎士は部下達に逃げたドラゴン達を追う様に指示を出してドラゴンの王に語りかけた。
「ドラゴンの王よ我が魔王軍の傘下に加わるのなら命だけは助けてやってもいいぞ」
「吐かせ、貴様らなんぞ我が力で捻り潰してくれる」
「そうか、歯向かうか」
「愚かな奴だ」
ドラゴンの王と黒騎士の戦いで崖の上にある城が壊れていく。
それでも二人は戦いを止めなかった。
どちらかが死ぬまでこの戦いは終わらない。
そして……。
ドラゴンの王の亡骸の上に座り、部下達に戦利品の宝を探す様に命令する。
影はこのドラゴンの国の宝を欲していた。
「黒騎士様は戻られて魔王様に報告でもしたらどうですか?」
「お疲れでしょう?」
「いや、私はしばらく此処に残る」
近くに勇者が居る。
こんな崖の上にある城に来るとは思えないが、もしかしたら……。
その時は魔王様に勇者の首を……。
部下を帰らせ、黒騎士は崩壊したお城で一人、勇者を待った。
第3話 完




