第2話[親子]
「頼んだぞ」
「はい魔王様のご期待に添える様、絶対にドラゴン族を皆殺しにしてみせます」
「黒騎士、いや我が娘よ」
「苦労をかけて申し訳ない」
そう言って魔王様はゆっくりと立ち上がった。
最近の魔王様はお城に篭ってばかりだ。
影を召喚した代償なのか以前より魔力も感じられない。
「フッ、そんな心配そうな顔をするな」
「今は影の実験に協力しているだけ、時期に良くなる」
そう言って魔王様は私の頭を撫でてくれた。
影の奴、一体何をしているんだ。
魔王様がこんなになるまで必要な協力って一体……。
いや、考えるのはよそう。
今はドラゴン族を根絶やしにする方が先決だ。
私は謁見の間を出て、部下達の帰りを待った。
そして告げられる。
勇者の邪魔に遭い、街を滅ぼせなかったと。
「それでどうします?」
「戻って勇者を殺しますか?」
「いや、いい」
「今は勇者よりドラゴン族の皆殺しが優先だ」
「至急、飛行型の魔物を複数体連れて来い」
そう部下に命令し、私は身支度を済ませる。
魔王様の命令、何が何でも遂行する。
阻む者が現れれば私は容赦なくソイツを斬り伏せてやる。
そう強く思い、私はドラゴン族の里を目指すのだった。
第2話 完




