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第50話[娘]

物心ついた時から私は魔王様の側に居た。

ずっと隣で魔王様の偉業を眺めていたんだ。

この世界を支配して魔物と人間が共存できる世界を作る。

そんな魔王様の夢がいつしか私の夢へと変わっていく。

その夢の為、私は多くの人間の命を奪った。

そして今も……。


「助けて」


瓦礫の下敷きとなり助けを求める小さな子供を前に私は大剣を握り、その小さな命を終わらせる。

これでいいんだ。

どうせ、助けた所で影の実験材料にされるだけ。

ならば此処で一思いに殺してやるのが情けだ。


「黒騎士様、後は我らだけで大丈夫です」


「そうか、なら私は先に魔王城に帰っている」

「後は頼んだぞ」


私は飛行型の魔物に乗り、魔王城へ帰宅した。


「あら黒騎士、今日は子供達は連れて帰らなかったの?」


チッ、帰るなり嫌な奴の顔を見てしまった。


「はい、これからはもう子供は連れて帰りません」

「殺す事にしましたから」


「素晴らしい、流石魔王様の娘だわ」


「そんな、私は魔王様の娘何かじゃ……」


そう私は人間。

魔王様と血の繋がりなんてないのだ。


「何を言っているの、魔王様が自慢げに話していたわよ」

「黒騎士は私の自慢の娘だって」


魔王様がそんな事を……。

やはり魔王様は魔王様だったんですね。

皆んなが魔王様は変わったと言っていた。

だが、変わってなどいなかった。

ずっと信じてきて良かった。


「待てよ黒騎士、お前子供を殺したのか?」


私はペンダの言葉を無視して立ち去ろうとする。

そんな私の肩をペンダが掴んだ。


「離せペンダ」


「離すかよ、それよりさっきのことだが……」


私はペンダの話しを最後まで聞かずに手を振り払った。


「魔王軍幹部が子供を殺してはいけない決まりなどないだろう」

「それとも何か?」

「お前の様に子供は部下に任せて大人だけ殺せと?」


私の言葉にペンダは激怒した。


「テメー、私とやり合う気か?」


睨み合う私達の間に影が割って入ってくる。


「二人共、少しは落ち着きなさい」


私もペンダも影に逆らう事はできない。

悔しいがコイツの実力は本物だ。

どんなに最低な奴でも魔王様はコイツの力を欲している。


「すみません、では失礼します」


私は影にお辞儀をし、帰ろうとした。

そんな時、影が私を呼び止めた。


「そうそう、魔王様があなたを呼んでいたわよ」

「何でもドラゴン族について相談があるとか」


ドラゴン族か。

人魚同様、中立の立場に居る存在。

何か問題があったのだろうか?

何はともあれ、久しぶりに魔王様と会える。

込み上げてくる喜びを胸に私は魔王様の元へ急いで向かった。


第50話 完

第7部 完


読み返しと編集作業の為、更新速度が遅くなります。

これからもよろしくお願い致します。

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