第48話[史上最低なわらしべ長者?]
私は今、一本の麦を見つめ絶望していた。
何故ならこの麦はつい数時間前まで季節のフルーツ盛り合わせだったからだ。
あれから私は隠し味に悩む料理人と出会い、酸っぱいリンゴを渡した。
料理人はそのお礼にと何故だか使い古されたオタマを私に渡してきた。
そしてしばらく歩くとオタマが欲しいと言う老婆に出会い、私は持っていたオタマを老婆にあげた。
するとどうだろう?
老婆は使用済みの鼻紙を私に渡して去って行くではないか。
私の額から汗が滲み、何処かゴミ箱を探していると、鼻紙をくれた老婆の事が好きな変態のお爺さんと出会った。
そして金のクワと鼻紙を交換し、勇者達と笑い合っていたら、農家の男性と出会う。
何でもクワが壊れたらしく、困っているのだとか。
コレは更なるお宝のチャンスだと欲を出してしまった結果、私の手元には一本の麦が残った。
別に麦になったから悲しい……、のもあるけど、私が一番不安に思っている事は、薬の効果が切れているのではないかという事だ。
まだ一日も経っていないのに……。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、スタリエちゃんが笑いながら話しかけてきた。
「薬の効果、切れてるんじゃない」
「そんな事ないよね?」
「まだ一日も経っていないんだよ」
「ちょっと日菜、冗談だから死んだ魚の目をして私の両肩を掴まないで」
「怖いから、謝るから」
「許して〜」
第48話 完




