第47話[お色気合戦]
その後も私はよくナンパされ、遂に三人は可笑しくなってしまう。
「こうなりゃ、日菜ちゃんより魅力的になるしかないよ」
「そうね、他の男に日菜が奪われる位なら多少の露出はやむを得ないわ」
「もういっそ、全ての男達を殺しましょうか?」
「「それだ」」
いや、勇者もスタリエちゃんも何言ってるの。
つか、雪花ちゃんも宿屋で誰も殺さないって約束したばかりじゃない。
「とりあえず物騒な事は無しで」
「それ以外なら何でもいいから」
私のその言葉を聞いて三人は頷き、当初の男の人の視線を自分達に集める作戦を実行しだした。
三人が服屋に行き、お洒落な服を着て私の周りに集まって来る。
「それじゃ、先ずは私から」
そう言って勇者は私の前を歩くが、誰も勇者の方を見ようともしなかった。
「プッ、全然相手にされてないじゃない」
「なっ、ならスタリエちゃんはイケるって訳?」
「当然よ」
「高貴で気品溢れるエロスってもんをあなた達に見せてあげるわ」
そう言って自信満々にスタリエちゃんが私の前を歩くのだが……。
「何あれ?」
「痴女じゃね?」
「ママー、何であの人裸なの?」
「しっ、見ちゃいけません」
その後も下品だの何だの言われ、スタリエちゃんは半泣きで私の背後へと隠れて行った。
流石に勇者も雪花ちゃんも何も言えず、二人はスタリエちゃんを励ましていた。
「紐ビキニ何てすっごいエロくてムラムラしたよ」
「そうです、その、勇者パーティのエロ担当みたいな……」
「魔王軍幹部で言う所のサライヤちゃんみたいな」
そう言って励まされ、スタリエちゃんは三人に小声で「ありがとう」と呟き、元気を取り戻していく。
そして最後に雪花ちゃん。
シンプルな服装が返って何だかお洒落なのだが、勇者同様、誰も見向きをしなかった。
「うふっ」
そう言ってウインクをしたりしてアピールをする雪花ちゃん。
それでも誰も雪花ちゃんを見なかった。
恥ずかしさから顔を赤くし、溶け出す雪花ちゃん。
そんな中、私は小さな男の子に声をかけていた。
「どうしたの?」
「うっ、お母さんが病気で……」
そう言って男の子は私にリンゴを見せてきた。
あまり色は良くなくお世辞にも美味しそうとは言えない。
「僕のお小遣いではコレしか買えなくて」
「でもやっぱりコレじゃ……」
「そっ、そうだ」
「だったらこのフルーツ盛り合わせとソレ、交換しない?」
「えっ、でもこんな不味そうなリンゴとじゃ釣り合わないよ」
うっ、釣り合うとか、意外としっかりしているな、この子……。
「えっと、お姉さん酸っぱいリンゴが大好きなんだ」
「だから……」
結果、私の季節のフルーツ盛り合わせが酸っぱそうなリンゴになっちゃった。
でもいっか。
「お姉ちゃんありがとう」
男の子の笑顔が見れたんだし。
そう思いながら私は手を振った。
それにしても三人共、まだやってたんだ。
お洒落な服に着替え、色気を振り撒く三人を見て、私は溜め息を吐いていた。
第47話 完




