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第44話[〇〇〇争奪戦]

夜になり、私達は宿屋に戻っていた。


「氷風呂、用意出来ましたよ」


そう宿屋の主人が呼びかけに来て、雪花ちゃんはご機嫌な様子で私の手を掴んできた。


「一緒に入りましょう」


いや、私死んじゃうから。

それに私、もうお風呂に入ったし。

何とか説得して雪花ちゃんには一人でお風呂に入って貰うことに……。

毎回、このくだりをやらなければならないのだろうか?

だとしたら、ちょっと辛いかも。


「全く、あいつ本当に勇者の事が好きな訳?」

「ペンダの勘違いじゃないの?」


確かにスタリエちゃんの言う通りだ。

今までの行動を見ていて間違い無く、勇者の事を嫌っている様に見える。


「っあれ?」

「そういえば勇者は?」


私がそうスタリエちゃんに尋ねた時だった。

浴室から雪花ちゃんの悲鳴が聞こえてくる。

私達はもしやと思い駆けつけてみると……。

案の定、そこに勇者の姿があった。

しかも下半身が凍っている。

雪花ちゃんに反撃されたのだろう。

自業自得だけど。


「こんな気持ち悪い人間、マグマの国の王様以来です」


「グヘヘ、最高の褒め言葉です」


いや、最低の貶し言葉だよ。

マグマの国の国王だよ。

セクハラ親父だよ。

流石にアレと一緒で喜べるのは勇者位だよ。


「雪花ちゃ〜ん」


両手だけで雪花ちゃんに歩み寄る勇者を見て、雪花ちゃんは悲鳴を上げた。

そんな中、緑ちゃんが勇者に向けて何かを投げた。


「コレは……、日菜ちゃんのパンツ」


勇者の言葉を聞いて、スタリエちゃんと雪花ちゃんも動き出す。

勇者は完全に凍らされ、スタリエちゃんの顔は雪花ちゃんが纏っていたバスタオルに覆われる。

そして全裸になった雪花ちゃんは私のパンツを掴み、ぴょんぴょんと飛び跳ね喜んでいた。

いや、お前ら何やってんのよ。


「はぁはぁ、コレが日菜ちゃんのパンツ」

「一体、どんな匂いがするんだろう」


そう言って興奮している雪花ちゃんから私はパンツを奪った。


「日菜ちゃん、酷いです」


「いや、酷いのは三人だよ」

「普通は、人のパンツを取り合わないよ」


「なっ、私はただ日菜に返そうと思って……」


何故だろう、スタリエちゃんの言葉も信用出来なくなってきちゃった。


第44話 完

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