第42話[秘密]
ブランガガル国への帰り道、私達は雪花ちゃんと出会っていた。
「日菜ちゃん、会いたかった」
そう言って雪花ちゃんは私に抱きつき頬擦りをして来た。
何だか頬が濡れている感じがする。
いや、濡れている。
まさか、私の体温と摩擦熱で雪花ちゃんの頬が溶けているんじゃないだろうか?
私は気になり雪花ちゃんを引き離し頬を覗いてみる。
するとどうだろうか、雪花ちゃんの頬は溶け落ち、歯が見えていた。
悲鳴をあげる私を見て、頬がない事に気づいたのか雪花ちゃんは水を凍らせて頬を修復していった。
「恥ずかしい所を見せちゃいました」
いや、恐ろしい物を見せられたよ。
私がそう思っていると、勇者が顔を赤くして近寄って来る。
「私の熱い愛で、君の冷めた心を温めてあげるよ」
「まだ生きてたんですか?」
「てっきりペンダちゃんが殺してるもんだと思ってました」
そんな雪花ちゃんの言葉に勇者は息を切らしながら興奮していた。
(流石雪花ちゃん、ドMな私の為にあんな事を言うなんて、やっぱり雪花ちゃんは私の事……)
「それより日菜ちゃん、大丈夫だったんですか?」
「影様が言うには処刑されるかもって聞いたんですが……」
ああ、あれね。
私は雪花ちゃんに事の経緯を説明し、そしてペンダが影に罰を与えられていないか心配し、尋ねてみる事に……。
すると雪花ちゃんの顔がどんどん青くなっていく。
「そんな、影様が生きている事を話していた何て……」
「って、私も影様が生きている前提で話しちゃった」
そう言うと雪花ちゃんは魔王城での影の事を話し、そして私達に頭を下げて来た。
「どうか聞かなかった事にして下さい」
頭を下げる雪花ちゃんに私達は頷いて応えたのだった。
第42話 完




