第24話[真実再び]
時は遡り、日菜がカジノで食事を楽しんでいた頃、勇者はコインを全て注ぎ込み無くしていた。
欲を張り、高レートのスロットに行った事を後悔しつつも、有り金全てを使いコインを買う。
基本的にお金の管理は日菜がするものの、外出時に財布を持つのは勇者だった。
銀行も無く、かといって宿に置いておく訳にもいかず、いつも大金を持ち歩いて移動する。
その為、不幸体質の日菜にお金を持たせる訳にはいかなかった。
日菜自身、落としたり、盗まれたりするのを恐れ、勇者に持ち歩く様、お金を渡していたのだ。
大量のドル箱を抱え、先程座っていたスロットへ戻る。
「大丈夫、ヤバそうなラインまで行ったらコインをお金に戻せばいい」
そう独り言の様に呟きながら勇者はスロットのレバーを引く。
当たったり流れたりしながらもコインは着実に増えて行き、日菜が様子を見に来る頃には何倍もの数に増えていた。
「まだだ、これじゃキャバクラで豪遊できない」
勇者は更に高レートのスロットへ行き、そして地獄をみた。
「どうしよう」
「コインもお金も無くなっちゃった」
頭を抱え、勇者の顔が青ざめる。
しばらく考え、勇者は日菜に嘘を吐く事にした。
「大丈夫、日菜ちゃん純粋だからバレないよね」
そして現在に至る。
「嘘を吐くのはまだいい」
「だけど、嘘を貫き通す為に私を老け顔呼ばわりした事だけは絶対に許さない」
土下座して謝る勇者の頭を杖でグリグリする日菜。
ドMの勇者にとって、それがご褒美とも知らずに、日菜は罵倒し、杖で軽く叩いたりして勇者を叱った。
第24話 完




