第40話[捜そう日菜ちゃんを]
時は少し遡り、日菜が財宝のプールで泳いでいた頃、勇者達は……。
「日菜殿を助けないと」
緑がそう叫び、日菜の跡を追おうとする。
そんな緑をサーベリックが止めた。
「何故止めるのです」
「何が起こるか分からないからじゃよ」
サーベリックの言葉に緑が反論する。
今の日菜は不幸体質では無く、幸運を引き寄せている筈、ならこのまま降りても平気な筈だとサーベリックにそう言うが……。
「お主だってさっき言ってたじゃろ、日菜を助けないとと、それは日菜が危険な目に遭っていると思ったからじゃろ」
「それは……」
サーベリックは溜め息を吐き、日菜が幸運を引き寄せている確証が無い事を皆んなに話した。
もしかしたら今までは、たまたま運が良かっただけでは無いのか?
日菜だって四六時中不幸な訳でもあるまい。
幸運が立て続けに起きる事だってあるだろう。
その事を説明するとスタリエは顔を青くした。
「だったら日菜は今頃串刺しに……、そんなの嫌」
「日菜が死ぬなら私も後を追うわ」
そう言ってスタリエが下に降りようとする。
そんなスタリエを勇者は止めた。
「何も死んだとは限らないでしょ」
「日菜の不幸を舐めないで」
「あんただって一緒に旅して来て分かるでしょ?」
「まあ落ち着いて、もしかしたら怪我をして動けないだけかもしれないし、このままスタリエちゃんが降りて行って日菜ちゃんの上に落ちて最悪って事も考えられる」
「だから私達はこのまま進んで日菜ちゃんを捜して回ろう」
勇者の言葉にスタリエは頷き、日菜を捜す決意をする。
そして勇者達は部屋の扉を開ける度に日菜の名前を叫び、罠でダメージを負う。
それを繰り返し、ようやく日菜の待つ宝物庫にたどり着くのであった。
第40話 完




