第39話[危険]
凄い、金銀財宝のプールだ。
私今、お宝の中で泳いでる。
うへへ、お金の魔力に取り憑かれそうだよ。
そんな事を呟きながら私は財宝で遊んでいた。
それにしても勇者達遅いなぁ。
私の後を追って滑ってくれば直ぐの筈なのに……。
まあ、いいや。
気長に待ってよ。
そうして私はお宝を一つ一つじっくりと観察していった。
そして数時間後、勇者達がボロボロになって駆けつけて来た。
「日菜ちゃ……ん、大丈夫みたいだね」
そう言って固まる勇者。
この膨大なお宝を見て驚いているのだろうか?
「大丈夫、皆んなボロボロだけど?」
「あっ、うん」
「正規のルートでここまで来たからね」
「正規のルート?」
そう尋ねる私にサーベリックちゃんが説明してくれた。
どうやら、私が通って来た道は隠しルートだったらしく、勇者達はあのまま進みここまで来たらしい。
「だったら皆んなで隠しルートを通ってくれば良かったのに」
そう言うと皆んなが黙り込み、私から視線を逸らした。
あれっ?
何で皆んな黙り込むの?
あっ、もしかして私が不幸体質だから、あの道は危険だと思ったんでしょ。
全く、サーベリックちゃんも言ってたのに、私の不幸と呪いが掛け合わさりプラスになったって。
コラッ、駄目だ皆んな。
サーベリックちゃんを信じなきゃ。
そう皆んなに言うが、誰も何も答えず、私と目も合わせようともしなかった。
しばらく沈黙が続き、サーベリックちゃんが口を開く。
「日菜が無事だったとしても、私らは違う」
「ほらっ、私らだけ運悪く串刺しになっていたかもしれん」
それを聞いて私は納得する。
確かにそうだ。
勇者達だけ滑っている途中に道が切り替わり危険な場所に辿り着く可能性だってある。
なるほど、なら仕方ないか。
不幸を舐めてたら痛い目に遭うもんね。
こうして私達は古代王の王冠と財宝を少し頂いて、お墓を後にするのであった。
第39話 完




