表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
234/367

第36話[劇団勇者]

「バカめ、此処は言わば敵陣の地、そこへたった二人で乗り込むなど愚の骨頂」

「我が成敗してくれる」


「馬鹿はどちらかな?」

「何の策も無しに来るとでも?」


そう言うとサーベリックちゃんは何か道具を取り出した。


「この転送装置を使えば、我が国の兵がこの謁見の間に転送され、簡単にこの国を制圧できる」

「何せこの国の兵士達は殆ど眠らせておいたからな」


アーネちゃんが私達の解放を要求する。

今の現状を見て、王様は渋い顔をしながらも私達の解放を兵士達に命じた。

武器や防具が渡される。

流石に人前じゃ着替えられないから、それらを手に持つ事に……。

そして帰ろうとした時だった。

サーベリックちゃんが兵士達に何かを投げつけた。


「なっ、何を」


王様はそう叫び立ち上がる。

サーベリックちゃんに何かをぶつけられた兵士達はイビキをかきながら地面へ倒れていく。


「キシシシシシ、これで残すは後一人」


「なっ、約束が違うぞ」


「何を仰られる」

「アーネ様はお願いをしただけで何もこの国を乗っ取らないとは言っておりません」


「えっ、どうしたのサーちゃん」


急な様付けと話が噛み合って無いのとで、アーネちゃんは少し戸惑っていた。

そんな中、私の手元に手紙が回って来る。

どうやら勇者宛らしく、私は近くに居る勇者にその手紙を手渡した。


「日菜ちゃんからラブレター貰っちゃった」


「ズルい日菜、私には無いの?」


今、そんな事言ってる場合じゃ無いから。

早く読んでよ。

こっそりと手紙を読む勇者。

全てを読み終えたのか、勇者は剣を持ち、手紙を私達に回した。

手紙の最後には勇者に合わせてと書いてある。

まさか……。


「サーベリックちゃん、悪いけど邪魔させてもらうね」


「助けてくれた事には感謝しているわ」

「だけど、国を乗っ取るなんて見過ごせないわ」


勇者とスタリエちゃんがサーベリックちゃんの前に立つ。

そして緑ちゃんとララちゃんも動きだした。


「無意味に血を流させる訳にはいかない」


「私達は世界平和を目指してますからね」


そして四人は一斉に私の方を向く。

えっ、私何言えばいいの?

私だけ台詞無かったし、勇者に合わせてとしか書いて無かったよ。

早く言えと言わんばかりの空気に、私は顔を赤くし眼鏡がズレているのも気にせず、適当な事を口にした。


「ラァブゥ&ピィースゥ」


ヤダッ、すごく恥ずかしい。

我ながら何を言ってんだろ。

穴があったら入りたいよぉ。


「フッ、勇者様達にそう言われては仕方ありません」

「此処は諦めて帰りますかな、アーちゃん」


「えっ、ええ」


何、この茶番。

こんな事、する必要あったのだろうか?


「ゆ……、勇者殿、大変無礼な事をしました」

「どうかこれまでの非礼をお許しください」


そう言って王様は頭を下げてきた。

こんな茶番に感動したのかな?

まあ、いいか。

この後、私達は王様から手厚い歓迎を受け、ご馳走をお腹一杯食べるのであった。


第36話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ