第23話[不良]
私はカジノへ行った事を後悔していた。
何故なら十八歳未満でありながらカジノへ行ってしまったからだ。
どんなに不幸に見舞われても、真面目に生きてきた筈なのに、ああ、お父さんお母さん、不良になってしまってごめんなさい。
神様、どうかこんな不良な私をお許し下さい。
深く反省いたします。
それにしても、何故店員さんは注意しなかったのだろうか?
そんなに私が大人びて見えたのだろうか?
「ねぇ、私何歳に見える?」
気になり勇者に尋ねてみる。
「えっ、歳相応だけど」
「いや、まだ中学生らしさが残って見えるかも」
「まあ、そんな日菜ちゃんが可愛いくていいんだけどね」
「えへへ」
などと勇者は言うが、なら何故注意されなかったんだろうか?
疑問に思い、私は勇者にその事を尋ねた。
「いや、日菜ちゃんの顔、よく見たらシミだらけでかなり老けて見えるわ」
「あっ、安心して、私はそれでも全然オッケーだから」
私は勇者を杖で殴ると憲兵が居る詰所へと向かう。
詰所へ着き、憲兵にカジノに年齢制限があるのか、それとな〜く尋ねてみると。
「いえ、カジノに年齢制限なんてございませんが」
日菜は心の中でガッツポーズをする。
事情を説明し、犯人を捜してくれる様頼むと……。
「もちろんですよ」
「勇者様達のお金を盗むとは、何て大罪人だ」
「すぐに捕まえて処刑致します」
処刑って、えっ、ギロチンとか?
いや、そこまでしなくてもいいのに。
私がそう伝えようとした時だった。
「待って、もういいの」
勇者がそう言って、憲兵を呼び止める。
「もう、いい」
「きっと犯人だって事情があったんだよ」
「病気のお母さんの為に、つい……とかね?」
つい、ねぇ〜。
どうして勇者は犯人捜しに非協力的なんだろう?
普通に極悪人が盗んだかも知れないのに……。
「そんな子を裁ける?」
「裁けないでしょ」
「私達が我慢すればいいだけ、そう思うでしょ、日菜ちゃん」
勇者が日菜の方を振り向いたと同時に、日菜は片手で勇者の首を掴み締め上げた。
「吐け」
日菜の一言に観念した勇者は全てを自白した。
第23話 完




