第31話[コレで何度目]
宿屋に帰ると私達は真紅の薔薇の騎士団に囲まれていた。
何でもペンダを逃した罪で投獄させられるとか。
私達は争う事無く捕まり、そのまま牢屋へ投獄される事に……。
うぅぅ、コレで牢屋に入るのは何度目なんだろう……。
「ズズちゃん、大丈夫?」
「うん、平気だよ」
何だろう、ズズちゃんの笑顔を見ていると何だか癒されてくる。
こんな最悪の場所で気分も最悪の筈なのに、ズズちゃんの笑顔は癒やし効果でもあるのだろうか?
勇者やスタリエちゃんも笑ってる。
緑ちゃんは……。
「また壺ですか……」
「壺がどうかしたのか?」
「いえ、何も……」
アハハ、あの時の事を思い出しているのかな?
普通、壺でトイレ何てしたくないよね。
女の子なら尚の事したくないよ。
そしてララちゃんは何か一人で考えている。
脱獄の計画でも練っているのだろうか?
武器も防具も取り上げられ、汚い布切れの様な服を着せられているからね。
脱獄しても、私達の装備品を取り返さないといけないし、一筋縄ではいかないよね。
そんな事を思っていると、牢屋の鍵が開いた。
周りには誰も居ない。
もしかしてメリナさんが助けに来てくれたの。
そう喜んでいると、ララちゃんが口を開いた。
「今は牢を出る訳にはいきません」
「恐らく、私達には王様と謁見する機会を与えられる筈です」
「その時、日菜さん達には私の話しに合わせて貰いたいのですが大丈夫ですか?」
「う、うん大丈夫だけど……」
何だろう?
ララちゃんには何か作戦があるのかな?
それから暫くして真紅の薔薇の騎士団の団員が私達を呼びに来た。
ララちゃんの言う通り、王様が私達を呼んでいるらしい。
私は固唾を飲み、覚悟を決める。
そして私達は謁見の間へ連れて行かれるのだった。
第31話 完




