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第22話[いざ、カジノへ参る後編]

コイン一枚で食事が楽しめるなんて、本当に凄い。

いや、でも一枚二十ベルもするから高いのかな?

二十ベルもあれば、それなりにできる事あるしね。

そんな事を考えながら私はステーキを頼み、出されたステーキを口に運んだ。

口の中で広がるバターの風味。

今まで味気の無い食事ばかりだったが、異世界に来て、初めて味の付いた物を食べられてる気がする。

ここに塩があれば文句は無いのだが、無い物は仕方がない。

他にも色々と試食をし、私は気に入ったステーキと甘みの強いフルーツを使用したクッキーを中心に食べ進めて行く。


「そうだ、姫様にもお土産を買って帰ろう」


そう思い、シェフに伝え、景品コーナーにお土産用のお菓子などがある事を知った。

私は景品カウンターへ向かい、品物を物色する。


「辛いフルーツ?」


奇妙なフルーツに目を奪われながら、店員さんにどの様な物か尋ねると……。


「辛いと言いますか、しょっぱいと言いますか、何とも不思議なフルーツです」

「そうですね、よくお肉やお魚などに果汁を掛け、食べられていますね」


間違いなく塩の代用品だ。

バターもある。

この二つがあれば、今後の食生活にも花が咲くのでは?


「って、コイン十五万枚必要なの」


桁を数えて驚愕する。

高すぎる。

店員さんの話しによると希少な食材らしく。

何でも王族ですら中々手に入らない品物だとか。

そんなレアアイテムがカジノの景品に、私は急いで勇者の元へ走った。

台を移動したのか、先程とは別の場所で勇者はスロットを回していた。


「ひ、日菜ちゃん」


驚く勇者の背後にはドル箱が積まれており、コインが大量にあった。

私は塩の代用品の事を話し、勇者は頑張るねと言ってスロットを回し続けた。

私が居たんじゃ、運が逃げてしまうと思ったのか、勇者は先に宿に帰るよう言ってきた。

私もそれに納得して、宿に戻り勇者の帰りを待つ事にした。

待つ事数時間。

夜も更け、眠くなってきた頃、事件が起きた。


「日菜ちゃん大変」


慌てて帰ってきた勇者に衝撃的な事実を突きつけられる。


「トイレに行っている間にお金とコイン、盗まれちゃった」


眠気も吹き飛び、私は憲兵に相談しようと勇者に提案したのだが……。


「いや、そこまでしなくてもいいんじゃない?」


何を悠長な事を言っているんだ、この勇者は。

あれだけのコインがあれば、バター位は買えた筈だ。

それに生活の為にはお金もいる。

馬鹿な事を言う勇者を無視して、私は憲兵が居る詰所へ向かおうとした時だった。


「日菜ちゃん」


私は勇者に大声で呼び止められる。


「私達、未成年だよ」


それを聞いた私は黙って部屋に戻る事にした。


第22話 完

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