第19話[大混乱]
神秘なる結晶を求めて私達は砂漠の洞窟へ来ていた。
「いや〜、涼しいねぇ〜」
「本当だね」
日菜さんはそう言って勇者さんに笑顔を向けていた。
「すげぇ、流石日菜さんだ」
「コウモリの芸術品が顔にかかっても笑顔でいられるなんて……」
「日菜殿の精神は最強ですからね」
「私も武人として見習わないと」
「ちょっと二人共、馬鹿言わないの」
「ほら日菜、頭巾をして」
「可愛いお顔が汚れちゃうわよ」
「本当だね」
「ありがとうスタリエちゃん」
「チュッ」
スタリエさんにキスをする日菜さん。
「日菜⁉︎」
「もう、キスするなら今度からちゃんと言ってね」
そう言って顔を赤くするスタリエさん、日菜さんの唇を狙っているのだろうか?
「うん、アハハハ」
そしてしばらく歩き続け、私達は洞窟の奥に眠る神秘なる結晶がある場所へ辿り着いた。
「アハハハ、着いたね」
「アハハハ、そうね」
日菜さんとスタリエさんが笑いあう中、私達は神秘なる結晶を採取する。
「あと一つで終わりだね」
勇者さんが皆んなに声をかける中、私はこう思っていた。
何故、二人が可笑しくなっている事に誰も気づかないのかと……。
恐るべしコウモリの芸術品。
第19話 完




