第18話[ジャングル]
「気をつけて下さい、底なし沼が彼方此方にありますから」
ララがそう叫び振り返る。
すると既に日菜は底なし沼にハマり体の殆どが沼に埋まっていた。
「ったく」
ペンダが木々をつたい、日菜の手を掴むとそのまま引き上げる。
木の枝に掴まった日菜はペンダにお礼を言った。
「別に大した事はしてないさ」
「それより、私につかまれよ」
「おぶってやる」
「ありがとう」
そう言ってペンダの背中に身を任せる日菜。
そんなペンダの元に勇者とスタリエがやって来た。
「私が変わるよ」
「日菜ちゃん、重いでしょ」
勇者に殺意を抱く日菜。
「勇者なんかに任せられないわよ」
「私がおぶるわ」
「日菜の為に何かしてあげたいの」
スタリエちゃん……。
スタリエの言葉に感動する日菜。
そんな中、スタリエの耳元で勇者が囁いた。
「本当は?」
「私も日菜パイを背中で感じたい……」
「えっ……」
「なっ、違うの日菜……」
「もう、何言わせんのよ馬鹿」
ポカポカと勇者を殴るスタリエ。
そんな二人を見て、ペンダが笑った。
「本当にお前達といると退屈しないな」
「ほら、行くぞ」
「ジャングルに住むニジッコーの虹の羽を取るんだろ」
ジャングルを猛スピードで走っていくペンダに勇者とスタリエは必死に追いかける。
そんな中、日菜はボソリと呟いた。
「私、ペンダと戦いたくない」
「私は時が来たら全力でお前達と戦うぜ」
「まあ、殺しはしないがな」
それを聞いて黙る日菜にペンダは言う。
「どのみち私を倒さなきゃ魔王には勝てないぜ」
「奴は私より遥かに強いからな」
「だからこそ、私はお前達と全力で戦う」
「私より弱い奴に魔王と戦わせる訳にはいかないからな」
ペンダ……。
「まあ、今はこうして一緒に旅をしてんだし、今を楽しもうぜ」
「うん」
こうして無事に虹の羽を手に入れた日菜達は次の素材を手に入れる為、旅を続けるのであった。
第18話 完




