第15話[ツノ探し]
私達は薬の材料集めに馬車を走らせていた。
「ヘントルドリの角かぁ、ヘントルドリって何処に居るんだろう?」
私の呟きにレイナちゃんが答える。
「ヘントルドリは南西の山道に生息しています」
へぇ〜そうなんだ……、ってレイナちゃん?
何で居るの?
私の問いにレイナちゃんは笑顔で答える。
「日菜さんの為に決まってるじゃないですか」
「私の恩人何ですから」
私、恩人なんだ。
そう思いながらレイナちゃんの様子を観察していると……。
「なあ緑、山道に良い鉱石があったら取ってくれないか?」
「はい、良いですよ」
フフフ、何だ。
本当は緑ちゃんと一緒に居たかっただけなんじゃん。
そういえば最近、緑ちゃん鍛冶屋に入り浸りだもんね。
レイナちゃんを応援するとか。
素材探しの旅に出たら、しばらく緑ちゃんに会えなくなるから、きっと寂しかったんだ。
山道に着き、私達はヘントルドリを捜す。
山道を歩き回って数分。
私達はヘントルドリを発見した。
「グァ」
こちらを見つめ警戒するヘントルドリ。
ヘントルドリの背後にララちゃんと緑ちゃん、レイナちゃんが回り込み、そして……。
「グァッペ」
私達に向かって唾を吐きかけてきた。
「あぶな」
私はそう叫ぶと同時にしゃがみ、唾を避けた。
すると私の背後に立っていた勇者にヘントルドリの唾がべったりと顔に付着する。
「フフフ勇者災難……、うわっ臭」
「くっさ……、うっ……」
そう言いながら吐き気を我慢するスタリエちゃん。
「日菜ちゃん、急に避けないでよ……」
「ごめん……」
正直、勇者には悪いけど私は内心安堵していた。
今回は不幸体質が発動しなかった。
それだけでも嬉しい。
ふと、勇者の言葉を思いだす。
私の不幸って他人を巻き込むとか言ってたけど、これは違うよね。
もしそうなら私にも不幸な事が起きている筈だし……。
そんな事を考えていたせいで、私は気づいていなかった。
ヘントルドリが私にお尻を向けていた事に……。
そして、ジョット噴射のようなものすごいスピードでお尻から放たれる芸術品。
私はパッチーンという、もの凄い音と共に地面へと倒れていった。
「キャー、日菜の顔に鳥の芸術品が……」
「しかも日菜の鼻血で血便みたいに……」
スタリエちゃんの実況を聞きながら私は思った。
結局、発動するんかいっと……。
第15話 完




