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第12話[興味津々]
あのレーちゃんが嬉しそうに勇者の仲間達の事を私とアーちゃんに話している。
特に緑とかいう子の事を中心に……。
「何だか妬けるのう」
「なあ、アーちゃん」
「そうね、こんなに誰かについて語るレーちゃんは初めてだわ」
レーちゃんは顔を真っ赤にして「そんなんじゃねぇ」と否定しているが、いやはや……。
それにしても……。
私はあの時、日菜が私に言った言葉を思い出す。
「はい、きっと緑ちゃんは何かに気づいて行動したんだと思いますから」
ふむ、信頼か……。
まあ、そんな事はどうでも良い。
今、私が興味あるのは……。
「なあ、レーちゃん」
「本当に日菜とかいう奴は不幸を背負ったような人間なのか?」
「バッカ、日菜さんはそんな甘っちょろい存在じゃねー」
「不幸そのものだ」
うむ、実に興味深い。
レーちゃんにそうまで言わせる不幸とは一体どんなものか、この目で見てみたいものじゃ。
なぁに、レーちゃんもブランクを埋めるのに時間がかかるじゃろう。
その間、私の錬金術に少々付き合って貰おうか。
私はそう思い、勇者達を呼び出した。
第12話 完




