第4話[職人街]
職人街にたどり着いた日菜達。
大勢の人達が行き来する中、一箇所だけ人集りができている場所を発見する。
そこにレイナが居た。
「さあ見てって見てって、この頑丈そうな盾」
「見た目通り頑丈で無くては意味が無い」
「この盾はどんな剣や槍をも通さない、まさに最強の盾」
そう言うとレイナは盾を地面に置き、ナイフを盾に向い振り落とした。
するとナイフの刃は折れて、盾は無傷のまま。
レイナはそれを観客達に見せつけた。
「さてお次に紹介するのはこの世界に斬れぬ物はない最強の剣です」
「この剣は……」
まだ説明途中のレイナに観客から質問の声があがる。
「その剣で盾を攻撃したらどうなるんだ?」
その質問をレイナは笑い飛ばし答える。
「そりゃ、二つ共壊れますよ」
「だったら最強じゃ無いじゃん」
再びレイナは笑う。
「何を馬鹿な事を仰るんですか」
「私はこの国一、いや世界一の鍛治職人ですよ」
「私の作った武器や防具でなければ剣や槍は通さないですし、剣もまた折れたりしません」
「それってつまり最強でしょ?」
「不審に思い買わないなら結構、どうぞ帰って下さい」
レイナの堂々とした態度に観客達が買うかどうか悩んでいる中、緑がレイナに話しかけた。
「盾を一つお譲り下さい」
「おっ、買ってくれるのかい?」
「見た所、旅人かな?」
「私と変わらない位なのに偉いね」
緑からお金を受け取り、盾を渡す。
「一つ良いですか?」
「はいはい、何でしょう?」
「この刀を見た事は?」
緑の刀をじっくりと観察しレイナは考える。
何処の刀だ。
作りは雑だし正直素人が作ったなまくら刀にしか見えない。
だけど、不思議と神秘的なオーラを感じる。
「いえ、見た事ないですがそれが何か」
「そうですか」
そう言うと緑は勇者に盾を持つように頼み、そしてレイナの前で盾を真っ二つにした。
「すみません、どうやら不良品のようです」
緑のその言葉にレイナは腹を立てる。
「テメー、人の商売の邪魔しやがって」
「オラッ、何見てんだ」
「店じまいだとっとと帰れ」
レイナは観客を追い返し、剣や盾を片付けていく。
「やはり人を騙していたんですね」
「だったら何だよ」
「用がないなら帰れよこっちはテメーの顔も見たくねぇ」
緑を睨むレイナ。
そんなレイナに緑は伝説の鞭を作るように頼む。
「馬鹿じゃねーのか、人の商売を邪魔しておいてそんなもん作るわけねーだろ」
「なら邪魔をしなければ作って頂けましたか?」
真っ直ぐと自分を見つめてくる緑の目を直視できずレイナは緑から視線を逸らし答えた。
「当たり前だろ、客なんだからよ」
そう言い残し、先程緑から受け取ったお金を緑の前に投げ捨てレイナは何処かへ去って行った。
第4話 完




