第20話[デート]
勇者が務所暮しをしている中、日菜は姫様の隣でお茶を飲んでいた。
やたら太ももに手を置いたり、肩に顔を置いたりと、ボディータッチが激しい。
一人っ子だから姉の様な存在が欲しかったのかな?
そう思うと何だか、お姫様が可愛く思えてくる。
とはいえ、いつまでもこの体勢で居るのはきつい。
そう思い、私は姫様にお出掛けする事を提案した。
街に出て、はしゃぐ姫様の後を追い、色々と見て周る。
パッサパサの茹でたジャガイモを笑顔で食す姫。
「とても美味しゅうございます」
日菜はジャガイモを見つめ、苦笑いした。
姫様を私達が居た世界へ連れて行ってあげたい。
そう考えながら、味気の無いジャガイモを口に運ぶ。
そんな日常を送りながら、遂に勇者が釈放される日が訪れた。
背後で姫様が舌打ちをする。
「やっとだよ」
「やっと日菜ちゃんとイチャイチャできる」
牢屋から出てきて、いきなり日菜に抱きつく勇者。
日菜の背後では姫様が恨めしそうに勇者を睨んでいた。
そして、勇者と再会を果たした日菜は…。
「やめて、臭い」
鼻を摘み勇者を突き飛ばした。
尻餅をつき、固まる勇者を見て、姫様は心の中で笑っていた。
第20話 完