第37話[新たな旅へ]
旅支度を済ませ、日菜達は宿屋を後にする。
街の入り口には街の人達が居て、皆んな日菜達をお見送りしに来ていた。
「しばらくあの飯を食えなくなるのは辛いぜ」
「そうだな、また街に寄ってくれよな」
スタリエは笑顔で返事をする。
「せーの」
「「緑ちゃーん、また来てね」」
街の男女が緑に黄色い声援を贈る。
緑は手を振り、それに応えていた。
「じじょう、お別れなんべ、づらずぎまずぅ〜」
「魔王、呪っどぎまずがら、ぜっだいにだおじでぐだざい」
泣きながら喋るジュノの頭を勇者は撫でてあげる。
「ありがとう、でも大丈夫」
「呪いが無くても勝つから」
「ざずが、じじょうでずぅ〜」
勇者とジュノ、師弟が抱き合う姿を見て、変わった組み合わせだなと日菜が笑う。
そんな日菜にリーサはブレスレットを見せた。
「必ずまた来てくださいね」
「じゃなきゃ、このブレスレット売っちゃいますから」
リーサの手を握る日菜。
「うん、また来るよ」
そう言ってリーサに笑顔を向けた。
そんな日菜の笑顔を直視出来ず、リーサは視線を逸らしてしまう。
「約束ですから」
「うん、約束」
こうして街の人達と別れを済ませ、日菜達は新たな旅に出る事となる。
「皆さん、準備できましたぞ」
日菜達は馬車に荷物を乗せ、全員で荷台から手を振り街の人達に別れを告げた。
かなり寄り道してしまったが、そろそろ伝説の鞭を完成させなければ……。
日菜がそう考えている中、スタリエは何故だか少し拗ねていた。
第37話 完




