第34話[歓喜]
「日菜さん、ちゃんと彼女に伝えましたよ」
「相手も分かりましたって言ってくれました」
それを聞いた日菜はリーサにお礼を言い、勇者とペンダに今夜はキャバクラに言ってもいいと許可を出した。
「えっ、明日は雪が降るの?」
余計な事を言う勇者の頬を思いっきり抓る日菜に、ペンダは嬉しそうに駆け寄った。
「使った分はちゃんと返すから」
そう言って喜ぶペンダに日菜は笑顔で返した。
そして時間が流れ、深夜三時。
上機嫌で帰って来たペンダに日菜達は起こされ腹を立てていた。
だが、嬉しそうに清純派キャバ嬢について語るペンダを見て、日菜達の怒りは徐々に下がっていく。
「家族が無事に治りそうだってさ」
「本当に良かったよ」
「うん、良かったね」
そう言うと日菜はペンダを自室へ連れて行き寝かせつける。
そして朝を迎え、出勤したリーサが日菜の元へ駆け寄って来た。
「それで日菜さん、報酬の件何ですが……」
「えっ、報酬?」
「まさか、あれだけの事をして無報酬なんて言いませんよね?」
「日菜さんは知らないかもだけど、キャバ嬢を説得するのは大変な事なんですよ」
涙目で訴えるリーサ。
確かにそうだよね。
今回の件ではリーサちゃんには、かなりお世話になってるし、しっかりと報酬を払わないとだね。
よし、ここはドンと報酬を支払おうじゃないか。
「三百万ベルでどう?」
「いえ、お金は入りません」
第34話 完
 




