第30話[呪活頑張ります]
お風呂に入り身も心もスッキリと晴れ渡る中、ジュノは勇者の髪が巻かれた人形を用意していた。
「さーて、呪活頑張るぞ」
そう言うとジュノは執拗に人形の頭を潰す。
「この時限呪術で、明日の勇者の頭がどんな感じになるのか、今から楽しみで眠れない」
数分後爆睡し、気持ちよく朝を迎えたジュノは早速宿屋へと向かう。
大きな欠伸をしながら階段を降りてくる勇者を発見し、慌てて身を隠すジュノ。
さあ、どうやって頭をカチ割るのか?
期待を胸に様子を見ていると……。
「あ〜、眠い」
そう呟きながら勇者は階段を踏み外し、頭から落ちていく。
それを見て喜ぶジュノだが……、丁度下を歩いていたスタリエとぶつかり、少年誌によくあるラッキースケベ展開に……。
「えへへ、ごめんねスタリエちゃん」
そう言いながらも胸を揉むのをやめない勇者にスタリエは思いっきり頬をビンタした。
一部始終を見ていた日菜がジュノの言葉を思い出し、勇者に駆け寄り耳打ちをする。
だが……。
「呪い?」
「そんなの無いって、寧ろ朝からスタリエちゃんの胸を揉めて幸せだよ」
そう言って笑い飛ばす勇者に日菜は頬を膨らませながら怒る。
次に街中を歩いている時だった。
勇者は何も無い所で躓き、目の前にはガラスの破片が落ちていた。
勇者は両手を突き、前転をしてソレを回避する。
そして顔を上げた所にスタリエの可愛らしい下着が目の前にあった。
スタリエは悲鳴を上げ、スカートの中にある勇者の頭を強打する。
頭にタンコブが出来ながらも幸せそうな勇者を見て心配する日菜。
「やっぱり呪われてるんじゃ?」
「大丈夫だよ、呪い何てないない」
二人の会話にスタリエが割って入る。
「どちらかと言えば、呪われてるのは私よ」
「僧侶なのに……」
涙目で訴えかけて来るスタリエを慰める日菜。
それからも、被害が出る度にスタリエは日菜に泣きついていく。
そして日が暮れ夜になる。
ベッドに横になろうと布団を捲るとそこに勇者が居た。
スタリエの悲鳴に駆けつける一同、勇者は頭を掻きながら軽く謝りベッドから降りていく。
すると……。
「勇者殿、何か落としましたよ」
緑が床に落ちた布を拾い、それを広げると……。
「ちょっと、これ私が穿いていたパンツじゃない」
スタリエに続き日菜も驚き叫ぶ。
「私のもある」
二人に睨まれる中、勇者は一言呟いた。
「呪いだ」
「いや、違うから」
第30話 完




