第28話[戦士枠]
何としてでも勇者と魔王退治がしたいジジルガ。
その覚悟はかなりのもので、なんとジジルガは一時的に男のシンボルを魔法使いに頼み、除去していたのだ。
その時に美少女になれる秘薬、美少女ニナールを手に入れたとか……。
だが、そのジジルガの覚悟はその場に居た全員をドン引きさせていた。
「いや、その執念、ちょっと怖い」
ジジルガから距離を置く勇者に日菜達はどの口が言うと思いつつも、ちょっとジジルガには恐怖を感じていた。
「何で、勇者殿が◯◯を抜いて来いと仰るから来たと言うのに……」
涙ながらにそう訴えるジジルガを見て、勇者は頭を掻く。
「っと言ってもねぇ〜、もう戦士枠に緑ちゃんが居るから」
そう言いながら、何かを閃いた勇者は緑に耳打ちをして、ジジルガにある提案を持ち掛けた。
「緑ちゃんに勝てたら仲間に加えてもいいよ」
「それは本当ですか」
斧を取り、緑と戦う気満々のジジルガを見て、日菜達は溜め息を吐いた。
(何、この茶番)
(それにしてもジジルガさんもジジルガさんだよ)
(前に誇りがどうとか言ってなかったっけ?)
「グヘヘ、お嬢ちゃんには恨みは無いが遠慮なく行かせてもらうぜぇ」
(言ってる事、悪役そのものだよ)
そう思いながら二人の戦いを見守る日菜。
ジジルガの振りかざした斧を緑が刀で打ち砕く。
「なっ、我が国自慢の斧が……」
武器を壊された事に心が折れ、敗北を認めるジジルガを見て、何だか可哀想に思えてきた日菜は、スタリエと相談し、食堂で得た資金からジジルガに斧をプレゼントする事にした。
尚、一連の出来事は全て宿屋内で起こり、後に勇者達は宿屋の主人から、こっ酷く叱られる事になる。
第28話 完




