第24話[採用、一人目]
スタリエが料理の仕込みをしている中、日菜はアルバイトの募集を見て訪れて来た人達の面接を行っていた。
「スペースドラゴンを倒したって本当か?」
「良かったら此処で修行を……、じゃなかった」
「此処で働かせてくれ」
日菜は彼に不採用を告げると溜め息を吐いた。
「お疲れ、どんな感じなの?」
目の前に置かれた水を一飲みし、日菜は再び深い溜め息を吐いた。
スペースドラゴンを倒したせいか来るのは屈強な男達ばかり、それもバイト目的では無く、修行目的だ。
やっと女の子が来たかと思えば緑ちゃんに手を振ったりして、まともに話しを聞いてくれないし……。
その事を愚痴り、スタリエも面接に加わる事を決める。
「変なのが来たら私が追い返してあげるわ」
頼もしい言葉に感激する日菜。
次の面接予定の子がドアから入って来て、日菜達は絶句した。
「ワシ……、じゃなかった」
「私はナナンナ」
「ここで働かせて欲しい」
そう言うとナナンナは椅子に座り、大きな斧を床に置いた。
(スタリエちゃん、出番です)
(早く追い返して下さい)
そう強く念じる日菜を他所に、スタリエはキッチンへ逃げようとする。
そんなスタリエの服を掴む日菜。
(あの、追い返してくれるんじゃ?)
小声で話す日菜にスタリエも小声で返す。
(いや、だって見てよ日菜)
(あの子、どう見ても子供でしょ?)
身長は低くく、見た目も幼い。
可愛いらしい幼女に二人はどう断ればいいのか困っていた。
(不採用を告げたら泣いちゃうかな?)
(だからと言って、子供何て雇えないじゃない)
二人が話し合っていると、ララが現れ二人の代わりに面接を始める。
「ナナンナさんはホビット族で?」
「いや、ドワーフです」
「成る程ドワーフですか」
「ちなみに力は強い方で?」
ララの質問に頷いて応え、ナナンナは目の前のテーブルを持ち上げた。
「最後にお幾つですか?」
「百を超えてから数えては無いかな」
面接を終え、ナナンナを待たせ、ララは日菜達の所へ向かった。
「どうでしょう?」
「力も強いみたいですし、仕入時の荷物持ちに役立つかと、採用します?」
二人は頷き、ララはナナンナに採用する事を告げた。
そんなララを見て、二人は思う。
流石商人、頼りになる。
第24話 完




